本書の第1部では、「超越論的」という言葉の持つフッサール現象学に特有の意味を確認する。フッサールが自明性の自己解明としての超越論的動機から、超越論的意識そのものの奥行きをなす「歴史性」や「世界」へと溯って行った道程をたどり直してみた。第2部では、まず第1章で第1部との連続性を確保した上で、第2章・第3章において、現象学と唯識思想との事象に即した比較研究を試みた。ここでは、「意識の根」に向かう遡行的問いにおいて、両者がいかなる事象に直面しているかが主題となる。第4章は「意識の根としての自然」に関する補論である。第3部・第4部では、以上の第1部から第2部への展開の途上で出会い、その歩みを著者なりに深めるに当たって影響を受けた哲学者の思想ないし個別的諸問題を扱っている。
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