【POD】そくらてすのツマの明るく楽しい人生ゲーム – あなたはワタシの思うツボ
「そくらてすのツマ」に学ぶ、ポジティブに生きるヒント
見方を変えれば、丸も三角になる
哲学者っぽいが哲学者ではない夫・雄一。彼を支える、著者である工藤知子は「そくらてす」という刺身に寄り添う「ツマ」。そんな発想から生まれたタイトル通り、本書は知子のあざやかなモノの見方が詰まっている。ある意味、家族や友人と楽しむ「コース料理」のような本だ。一皿、二皿と嗜む都度、頬が緩んでいくだろう。
明るい企みのある朝、前向きになれる
人によって朝の景色は違う。「あ〜あ、朝がきたのか」と「今日も楽しく過ごそう」で始まった日では、見え方は変わってくるだろう。知子の景色は、常にポジティブだ。たとえ巷でささやかれる「悪口」に遭遇しても、彼女の体をするりと通り抜け、明るい「企み」に変換してしまう。
企みというと、悪事を連想する人もいるかもしれない。彼女の企みは人をよりよい状況にする。時には人を変え、相手の懐に入り、もっと仲良くなっていく。
なぜ、彼女は「明るい企て」ができるのか。それはポジティブの蓄積があるためだ。彼女は近所のオバサンに、魔女のような格好をしている彼女の姿から生まれた「あだ名」の存在を知らされる。差別用語が含まれた、通常ならかなり不愉快なあだ名だ。多くの人は、近所のオバサンに「あなたはみんなから、そんな風に呼ばれているのよ」と言われたら、外出するのも怖くなるだろう。しかも、嫁いだ先の異郷。地獄である。
しかし彼女は、驚異の「思考」変換能力を発揮する。過去の出来事を脳内の引き出しから引っ張り出し、気持ちをポジティブに変換。近所のオバサンとも距離を置くどころか、距離を詰める行動にでる。結果的にあだ名のお陰で、たくさんの人と仲良くなっていくのだ。何ともたのもしい人物である。
同時に考えさせられる。嫌な言動もポジティブに捉えると、悪者が生まれないのだ。多くの場合、友人のフリをして「○○さんが、あなたの悪口を言っていたよ」という人物はくせ者だ。信用してはならない。しかし受け手がそれを悪口と捉えなければ、相手を悪く思う必要はなくなる。いがみ合いの生じない世界観が生まれるわけだ。
ポジティブ変換できる人が増えれば、世界平和も近づくと気づかされる。
企み好きは、人の企みにも寛容
知子と雄一の間に子どもが産まれ、忙しい日々。そんなときでも、知子は夫の観察をかかさない。雄一が思い悩んでいると察した知子は、雄一に向かって声を掛ける。雄一は、ある思いを口にする。知子流のことばで記すと「企み(※本分では、たくらみ)の判明」である。
それは「子どもがいるから、難しい」という、子育て中の親にありがちな悩みも含んでいた。知子は明るく受け入れる。むしろ、背中を押す。企み好きな人物は、人の企みにも好意的なのか。こうして一家は、東京に出てくることになる。
「子どもがいると、○○できない」と悩む人も多いが、案外、パートナーに相談してみると解決先は見つかるのかもしれない。そう思わせてくれるエピソードだった。
明るい気持ちになる本
近年、不登校児が増え、自殺者も増加している。人とのコミュニケーションの取り方に悩む人は多い。とくにSNSなどが発達し短文での交流が増えてきた。短い文章の中でメッセージを伝えるので、どうしても意図とは違う受け取り方をされてしまうケースもある。リアルでの交流が希薄になったからこそ、バーチャル社会で人と交流を持ちたいのに、そこでもストレスフルである場合も多い。そんな社会だからこそ、知子のようなポジティブに変換する力が大切になってくる。
一方向から見ると丸いかたちをしていても、側面から見ると三角形の場合もある。相手から受けたことばも、見方を替えれば感じ方が変わってくるケースも多いだろう。本書はそんなことを思い出させてくる本である。
知子のように、どんなことが起きても事態を面白がり、明るい企みを持って人と接すると、全ての景色があざやかに見えてくるかもしれない。
文・夏野久万
[著者プロフィール]
工藤 知子(くどう・ともこ)
名古屋市生まれ。南山大学文学部英文学科卒。
名古屋聖霊高等学校教諭を経て、南山大学ティーチングアシスタント。
名城大学薬学部講師。
日本青年海外派遣オセアニア班渉外担当として、総理府からオーストラリア方面へ派遣される。
南山大学短期大学部講師。
結婚して秋田へ。聖霊女子短期大学英語科講師。
退職後、現在主婦。
日本ラジオ歌謡研究会理事。
秋田市在住。
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