第一印象は著者がとてもフェアネスな人だということ。内容はとてもよく調べてあり分かりやすい。 多くの大人に読んで欲しい、特に教育、医療、福祉、行政に関わる方全員の必読書だと思う。中身は具体的な指針、提言が書かれていて直ぐに実行して欲しいものばかりでした。,「「ACE(エース)」というのはAdverse Childhood Experiences の頭文字であり、「逆境的小児期体験」や「子ども期の逆境体験」などと訳されます。ACEは、0歳から18歳までの子ども時代に経験する、トラウマ(心の傷)となりうる出来事を指します。たとえば、虐待やネグレクト、家族の精神疾患や依存症、近親者間暴力などに曝される体験をいいます。 1990年代からアメリカで始まったACE研究が明らかにしたことは、経験されたACEの種類がより多い人ほど、後年、心臓病や糖尿病、薬物乱用、自殺念慮、失業や貧困などに苦しむ可能性が高くなるということでした。 つまり、子ども時代により多くの逆境に曝された人は、生涯にわたって心身的にも社会経済的にも、生きづらい状況に置かれる可能性が高いということです。 虐待やネグレクト、さまざまな家族の問題は、センセーショナルに描かれることが多い話題です。しかし本書では、あくまでもACE研究という学術的視点に立って、ACEが人生に与える長期的な悪影響の実態を、実証的なデータに基づいて議論します。」 ACEについての本は英語では書かれていますが、日本語で書かれた一般向けの本としては珍しいと思います。日本の一般的な人々にはあまり知られていないことだと思います。研究知見を日本語で伝え、日本社会がこれから取り組むべきことについて議論できるための確かな情報を広めたいと企図し、本書を世に出すことにしたそうです。 疫学、精神医学、神経科学、心理学、ソーシャルワーク研究などを分野横断的に俯瞰し、ACE研究が明らかにしている主要な知見を紹介してあります。また、京都大学が実施した全国2万人へのアンケートに基づき、日本社会におけるACEサバイバーが被っている不利の実態を示してあります。さらに、ACEサバイバー本人へのインタビューや国内外での取り組み事例を踏まえ「ACEサバイバーが不利にならない社会」への処方箋を具体的に提言してあります。
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第一印象は著者がとてもフェアネスな人だということ。内容はとてもよく調べてあり分かりやすい。 多くの大人に読んで欲しい、特に教育、医療、福祉、行政に関わる方全員の必読書だと思う。中身は具体的な指針、提言が書かれていて直ぐに実行して欲しいものばかりでした。
ACEについて一般向けに書かれた入門書
「「ACE(エース)」というのはAdverse Childhood Experiences の頭文字であり、「逆境的小児期体験」や「子ども期の逆境体験」などと訳されます。ACEは、0歳から18歳までの子ども時代に経験する、トラウマ(心の傷)となりうる出来事を指します。たとえば、虐待やネグレクト、家族の精神疾患や依存症、近親者間暴力などに曝される体験をいいます。 1990年代からアメリカで始まったACE研究が明らかにしたことは、経験されたACEの種類がより多い人ほど、後年、心臓病や糖尿病、薬物乱用、自殺念慮、失業や貧困などに苦しむ可能性が高くなるということでした。 つまり、子ども時代により多くの逆境に曝された人は、生涯にわたって心身的にも社会経済的にも、生きづらい状況に置かれる可能性が高いということです。 虐待やネグレクト、さまざまな家族の問題は、センセーショナルに描かれることが多い話題です。しかし本書では、あくまでもACE研究という学術的視点に立って、ACEが人生に与える長期的な悪影響の実態を、実証的なデータに基づいて議論します。」 ACEについての本は英語では書かれていますが、日本語で書かれた一般向けの本としては珍しいと思います。日本の一般的な人々にはあまり知られていないことだと思います。研究知見を日本語で伝え、日本社会がこれから取り組むべきことについて議論できるための確かな情報を広めたいと企図し、本書を世に出すことにしたそうです。 疫学、精神医学、神経科学、心理学、ソーシャルワーク研究などを分野横断的に俯瞰し、ACE研究が明らかにしている主要な知見を紹介してあります。また、京都大学が実施した全国2万人へのアンケートに基づき、日本社会におけるACEサバイバーが被っている不利の実態を示してあります。さらに、ACEサバイバー本人へのインタビューや国内外での取り組み事例を踏まえ「ACEサバイバーが不利にならない社会」への処方箋を具体的に提言してあります。