沖縄では豚肉が大量消費される一方で、その肉を生み出すブタは「くさい」と嫌われ、養豚場排斥運動が起きている。他方で、メディアを通して〈ブタ好き〉というイメージが流布されている。ブタを飼うことと消費することをめぐる人びとの両価的な思いを、産業化のなかでブタ観が変遷する流れを踏まえながら、詳細なフィールドワークに基づいて描き出す。
はじめに
第1章 激変する人?ブタの関係と沖縄社会
1 人間と動物の人類学
1-1 功利主義と象徴論
1-2 動物人格論
1-3 動物のエージェンシー論
2 産業化以降の沖縄における人とブタの関係を捉える視座
3 養豚、屠殺、市場??ブタをめぐる人の営みの可視化
4 本書の構成
第2章 ブタと沖縄
1 沖縄における人とブタの関係
1-1 人とブタの沖縄史
1-2 養豚の現在
2 沖縄における豚肉食の重要性
2-1 豚肉食の特徴
2-2 沖縄イメージと豚肉料理
第3章 ブタをめぐる両義性の生成??養豚場立ち退きとブタへの好意
1 「ノット・イン・マイ・バックヤード(Not In My Back Yard)」
2 戦後の養豚復興から産業化への移行
3 人とブタの分離
3-1 ブタの遠隔化
3-2 悪臭の「発見」
4 「汚いブタの肉を食す」矛盾
4-1 肉の特権化と豚肉食の連続性
4-2 尊いブタのイメージ
4-3 在来種アグーの復興運動
第4章 揺らぐ嫌悪と好意??養豚の現場で
1 養豚場の概況
1-1 企業養豚の概況
1-2 世帯養豚の概況
2 専業化に伴う豚舎の改変
2-1 戦前型ブタ便所から戦後型豚舎への移行
2-2 新式の機能別豚舎の登場
3 汚いのはブタか人か??人とブタの境界の侵犯と維持
3-1 養豚場内外にみる人とブタの境界
3-2 養豚場内における人とブタの境界
4 ブタのモノ化
4-1 ブタの飼育作業のマニュアル化
4-2 ブタのモノ化
5 ブタの擬人化
5-1 ブタの名付けと個体識別
5-2 感情移入とブタの模倣
第5章 脱動物化されるブタ??近代的食肉産業と屠殺の不可視化
1 屠殺を捉えるまなざし
2 屠殺場の概況
3 脱動物化
3-1 屠殺場における作業工程
3-2 ブタと肉の空間的な分離
3-3 脱動物化の工程
4 格付け検査による商品価値の付与
5 動物性とは何か?
第6章 消費する現場の嗜好性??伝統と技と眼差しと
1 小売市場の概況
1-1 A市場の概況
1-2 肉屋の概況
1-3 豚肉食の特徴
2 流通形態の変化と民俗分類
2-1 豚肉流通の変化
2-2 ブタの部位の民俗分類
2-3 市場の技と民俗分類??身体的感覚の総体としての名付け
3 ブタ大腸に集中する消費
3-1 「部分消費」の誕生
3-2 売り手による大腸の加工
3-3 大腸の売買にみる買い手の世代差
第7章 考察と結論
1 産業化以降の沖縄における人とブタの関係
1-1 ブタへの嫌悪と境界の維持
1-2 肉への嗜好性とブタの肯定的な表象
2 課題と展望
あとがき
引用文献
索 引
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