山口県岩国の吉川家伝来「月次(つきなみ)風俗図屏風」。その形態や画面構成、主題・モティーフ選択は異色で、大田植・富士巻狩など地方・歴史に取材した題材も含み、同時代の風俗画作品とは異なる風景を描く。作品成立に関わった安芸・周防の土壌に根づいた文化の諸相を、美術をはじめ文学や芸能・歴史などから横断的に考察し、作品の実態と広がりを解明する。
序 本章のねらい/成立と伝来ー「月次風俗図屏風」の主題・モティーフ分析(「月次風俗図屏風」の成立ー旧岩国藩吉川家伝来について/「月次風俗図屏風」の主題とモティーフ選択ー戦国期武家故実との関わりから)/文学・芸能・空間ー「月次風俗図屏風」の図像学(名所絵としての「吉野図屏風」-継承される図像の意味/松の絵と能舞台をめぐる一考察ー雲谷派関連の資料を中心にして/描かれた富士巻狩の物語ー幸若舞曲「曽我物」と「曽我物語図屏風」の位相)/在地性ー「月次風俗図屏風」と安芸・周防(『田植草紙』の成立背景についてーその伝承圏と信仰基盤/海を越える「耕織図」-「四季耕作図屏風」の景観描写)/結 今後の課題
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