幕末を代表する蘭方医、緒方洪庵が往診に使った二つの薬箱には薬と道具がいまも遺されている。それらは洪庵が摂取し広げた医療とその学問的背景を今も伝える。洪庵は種痘を広げ、コレラの流行時には有効な治療を行い多くの人を救い、適塾(大坂)で多くの優れた若者を育て最期は54歳で江戸で亡くなっている。今でこそ短いかもしれない生涯の中で、驚くほど多くのことを学び研究を進め、翻訳書、著書も多い。時代の変遷とともに医学は移り変わり、薬箱では剤型にその変化を、生薬類の変化には治療のために高水準の医療を求めつづけた姿を見ることができる。阿片も含むこのような貴重な医療文化財を法規のなかで守るための方策と課題も示す。
口絵 壮年期・晩年期使用の薬箱
刊行によせて
序 章 本書の視角 〜緒方洪庵の薬箱研究〜
第1章 緒方洪庵と臨床薬学
第2章 壮年期使用薬箱に収納された薬物
第3章 晩年期使用の薬箱に収納された薬物
第4章 薬箱が語る東西融合療法の実践と応用
第5章 恒久保存にむけた薬箱研究
終 章 総括と展望
緒方洪庵の薬箱および関連生薬標本研究成果リスト
後記
生薬名索引
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