神仏習合時代の鎌倉の鶴岡八幡宮は、別当(社家)・供僧(院家)・小別当・神主・社人によって構成される寺院であった。なかでも、社僧・伶人・巫女・神官・大工棟梁などそれぞれの専門職能(家職)をもって奉仕した社人たちは、八幡宮の聖と俗の境界領域をまたぐ場で公私に及び活動し、長く一つの独自の世界を作り出して来た。彼らの豊かな歴史と伝統は、鎌倉期だけでなく江戸期に至るまで存在した。
各地・各分野に残された断片的史料から、社人たちの公私にわたる歴史的役割を具体的に明らかにし、彼らを鶴岡八幡宮のみならず都市鎌倉を下から支えた存在として改めて注目することで新たな鎌倉史像を打ち立てる。
カラー口絵
はじめに
凡 例
第一部 鎌倉・八幡宮史のなかの社人
第一章 「新編相模国風土記稿」などにみる八乙女・神楽男・伶人たち
第二章 八乙女・神楽男・伶人たちの由緒・来歴について
第二部 中世後期における社人の活動
第一章 南北朝・室町期の八乙女・神楽男・伶人たちー「香蔵院珎祐記録」を中心にー
第二章 戦国期の八乙女・神楽男・伶人たちー「快元僧都記」を中心にー
第三章 「小田原衆所領役帳」にみる八幡宮領と社人たち
第三部 近世における社人の活動
第一章 江戸幕府の成立と社人たちー法度の世界へー
第二章 寛永十七年付八幡宮領社人分名寄帳の世界ー社人四十七名の実態ー
第三章 八幡宮と極楽寺長吏についてー放生会・犬神人・「鶴岡丹裘役」-
第四章 八乙女・神楽男・伶人たちの「御仕役」についてー紀行文にみる世界ー
第五章 社人の「内業」についてー旅宿・絵図・名所記刊行ー
第六章 八乙女大石家の本陣化とその背景について
第四部 雪の下の世界と社人・非社人の活動
第一章 八幡宮門前の旅宿についてー文政四年段階の状況ー
第二章 八幡宮西門周辺の世界1-社人たちー
第三章 八幡宮西門周辺の世界2-非社人たちー
第四章 八幡宮西門周辺の世界3-猿茶屋と岡崎氏・川瀬氏ー
第五章 八幡宮西門周辺の世界4-坂・峠・境ー
第五部 史跡都市鎌倉の展開と社人・非社人の活動
第一章 中世鎌倉の旅宿の様相ー戦国期を中心にー
第二章 鎌倉絵図・鎌倉名所記の刊行1-社人を中心にー
第三章 鎌倉絵図・鎌倉名所記の刊行2-非社人を中心にー
第四章 史跡都市化と八幡宮1-享保年代を中心にー
第五章 史跡都市化と八幡宮2-天保・弘化年代を中心にー
第六章 史跡都市鎌倉と案内人ー旅宿・茶屋・老若男女ー
第六部 社人の多面的な活動と軌跡
第一章 社人の八幡宮領目代化についてー社人の政治参加をめぐってー
第二章 供僧・神主・社人の立ち位置についてー宝蔵・宝物をめぐってー
第三章 社人内部の問題についてー「仲間」をめぐってー
第四章 社人と非社人の融合についてー婚姻関係をめぐってー
第五章 社人の権威志向についてー戒名・由緒・装束をめぐってー
第六章 社人の文化的活動についてー俳諧・史跡顕彰をめぐってー
第七章 文久二年四月吉日付八幡宮灯籠にみる社人たちー近代への夜明けー
おわりに
参考事項
主要参考文献
あとがき
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