- 20
- 3.67
二〇世紀を代表する作家カフカは、いつも死にたいと思っていました。しかし、ついに実行はしませんでした。「なぜあの人は自殺したのか?」と問われる人はあっても、自殺しなかったからといって「なぜしなかったのか?」と問われる人は珍しいでしょう。しかし、カフカはそういう人です。親との関係に苦しみ、執筆と「パンのための仕事」の狭間でもがき、結婚に不安を抱き……。人生のほぼすべての場面で苦悩していた彼は、いったいどのように人生を全うしたのでしょうか。 カフカの日記と手紙をてがかりに、弱くあることの意味を再考し、現代人にとってのヒントをちりばめた一冊。
レビュー(20件)
カフカの小説をより深く味わうことができる
この本よりも同じ著者が書いた『絶望名人カフカの人生論』のほうがよく読まれていると思うが、個人的にはこちらの本のほうが読んだ後よりカフカを身近に感じることができた。 なぜカフカは自殺しなかったのか? その答えを著者ははっきりとは述べていません(述べない理由もきちんと書いてあります) しかし、答えのかわりにこう述べています。 「カフカは決して飛び越えません。永遠に迷い続けます。それは優柔不断とも言えます。しかし、妥協しない徹底さとも言えます。決断できない弱さであり、決断しない強さです。永遠に迷い続けるとどうなるのか?その答えがカフカです。」と。 カフカの小説を読んで、なにか感じるところがある人には是非読んでもらいたい良書です。
濃い内容
新聞の書籍紹介欄で、この本のタイトルを発見し、興味を抱きました。「なぜ自殺したのか」では無くて「なぜ自殺しなかったのか」自殺しなかったことに言及する本は珍しいと思いました。この本の前に、同じ著者の作品で「絶望名人 カフカの人生論」が在り、読者から「自殺願望が在りながら何故カフカは自殺しなかったのでしょうか」との質問が相次いだとの事。この本は、その答えに当たる物だそうです。私自信、肉親の死から立ち直れず、後追い自殺まで考えて居たので、必要な本でした。答えである此の本の、質問を生み出すきっかけとなった「絶望名人 カフカの人生論」も合わせて購入。2冊とも味わいましたが、もしかしたら、最初の本の方が、傷付いている人向けで、答えに当たるこの本は、かなり疲れを誘う内容ではないかと思います。なにしろ、残されたカフカの手紙やノート、日記から、カフカ其の人を感じ取る内容だからです。カフカの人生論を読んで少し元気に成ってから、回復してから、この本に取りかかった方が良いかもしれません。2冊続けて読むと結構疲れます。でも、中身は濃くて、しばらくは何度も読み返すことになりそうです。 注文番号:213310-20170305-084224276