2022年「ブッカー国際賞」最終候補作!
かつて見たことのない世界が待ち受ける。
芸術選奨文部科学大臣新人賞・紫式部文学賞 ダブル受賞
<わたしたちは仲間です>--十四歳のある日、同級生からの苛めに耐える<僕>は、差出人不明の手紙を受け取る。苛められる者同士が育んだ密やかで無垢な関係はしかし、奇妙に変容していく。葛藤の末に選んだ世界で、僕が見たものとは。善悪や強弱といった価値観の根源を問い、圧倒的な反響を得た著者の新境地。
◆ニューヨーク・タイムズ
……この小説の不協和音は息を呑むようなラストの完璧なビジョンになり、それは意味、美しさ、そして人生を肯定する根拠になる。川上のような複雑な作家による、稀にみるこの、深遠でありながら満ち足りた物語の終わらせかた。彼女の作品を読むと、彼女が何も恐れない作家だということがわかる
◆ロンドン・レビュー・オブ・ブックス
川上は、抽象的でとても大きな問題を奇妙なほど直接的で個別の問題であるようにひとつの皿の上に提示して見せる
◆フィナンシャルタイムズ
……終盤、読者はその直感的な細部と哲学的な複雑さに眩暈がするほど夢中になり、そして到来するツイスト、それは予想不能の奇妙な力であなたを襲う
◆インディペンデント
『ヘヴン』を読むと、まるで美しくも残酷な10代の少年が自分の胸に座っているような気持ちになる
◆オプラ・デイリー
昨年、賞賛を浴びた『夏物語』の著者による思春期の呪われた洞窟を舞台にした痛烈なオデッセイ
レビュー(484件)
辛いけど、どうしても読みたくなる本でした。信条と言うには痛々しすぎる枷を自分に課すことで自分の外殻を頑強で美しいものにしようとするコジマに、私は共感しました。自分の精神を自立させるのは大変です。いろんな人に支えられたり、もたれたりしながら、ふわふわ生きるのが楽だと分かっていても、それができない人は居るものです。圧倒的な飛躍を体験するコジマと主人公僕の、哀しいけど美しい変容に心を打たれました。
知り合いからいいと紹介されましたが。。。
知り合いからいいと紹介されて即購入しました。 話の序盤~中盤にかけて、読むのを躊躇しそうになるくらいないじめシーンがあります。 ラストはなんだか心拍がかなり上下するような展開です。
いじめの描写はすごかったんだけど
読んでいて気分悪くなりますね。それだけ著者の表現がすごいということなんですけど。圧倒的だった分、ラストがちょっと拍子抜けというかシックリこないのが残念でした。
時折、呼吸が浅くなる(気がする)くらいに、読み進めるのが辛くなる物語でした。 主人公の少年が悪質ないじめを受ける場面しかり、 主人公同様クラスメイトからいじめられている少女の言葉があまりに痛々しくて 胸が痛くなったり、加害者の少年の身勝手な主張に愕然とさせられたり。 楽しい、おもしろいだけが小説じゃない、登場人物とともに苦しみを味わうのも また小説の醍醐味なのかもと思わせられました。 ラストは急ごしらえな感があり、やや消化不良にも思えましたが、 現実社会で起こっているいじめの深刻さを考えると、 せめてフィクションの世界ぐらいはこのくらいの甘さがあってもいいのかもしれません。
いじめをテーマにした社会派の内容で読み応えがありましたが、ラストがお粗末な終わり方でがっかりでした。