本書ではここ10数年来(場合によっては戦前より)議論されている10のテーマを取り上げた。これらのテーマ選定が、はたして適切なものであったかどうかは、読者の判断にまかせる以外にはない。ただし、筆者はかって、ある高名な日本経済史家から「世の中に経済論争と呼ばれるものは数多くあるが、そのなかで本当に重要な論争は“日本資本主義論争”といったように必ず普通名詞が付けられている。反対に、論争当事者の名前が付いたものは、その大半が不毛の個人攻撃にすぎない」というお話を聞いたことがある。この基準に照らして考えると、本書で取り上げた論争類は普通名詞で呼ばれることが多く、ある程度は妥当な選択であったと自負している。
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