終わりなき思考の運動
バタイユが唱えた「非ー知」とは知の否定ではなく、概念のヴェールを絶えず脱ぎ去っていく、積極的な独自の哲学であった。本書では、思考の運動そのものともいうべき「非ー知」をバタイユ思想の核心に据える。彼の代名詞であった「死とエロティシズム」のヴェールを剝ぎ取り、この思想家を哲学史のなかに位置づけ直すことで、バタイユ研究に決定的な哲学的転回をもたらす新鋭の力作。
「本書は二〇世紀のフランスを代表する思想家のひとりであるジョルジュ・バタイユの思想を、思考のエロティシズムという観点から論じるものである。それはバタイユにおける知や思考の問題を、性愛としてのエロティシズムにではなく、哲学的なエロティシズムに、すなわち「知を愛し求める」というエロスの運動に結びつけることで、彼の思想を古代ギリシャから連綿とつづく哲学の営みのうちに位置づけようとする試みである。」(本書より)
序章 哲学する者としてのバタイユ
1 日本のバタイユ受容
2 哲学する者としてのバタイユ
3 非ー知と哲学
4 知とエロス
5 本書の構成について
第一章 非ー知と概念知ーー知ること、認識すること、見ること
1 概念把握に基づく知、「として」に制限された視覚
2 非ー知、あるいは思考の死
3 非ー知は裸にするーー絶えざる概念知の無効化としての知
第二章 非ー知の萌芽を求めてーー『ドキュマン』期における低次唯物論
1 「かたち」という主題ーー在るべき姿からの逃走
2 低い低い唯物論
3 脱ぎ去りの思考と裸の退隠
第三章 非ー知と絶対知ーーヘーゲル、コジェーヴを介して
1 絶対知を必要とする非ー知
2 なぜの問い、さらに先へと進んでいくこと
3 コジェーヴ経由のヘーゲル受容
4 用途なき否定性
第四章 思考の表象ーー女性的な思考と娼婦のフィギュール
1 ドレスを脱ぐ思考ーーニーチェ・女性・真理
2 誰のものにもならない娼婦
3 「淫奔な鍵」が隠された場面
4 黒衣の娼婦と脱ぎ去りの思考ーー『マダム・エドワルダ』再考
第五章 脱ぎ去りの思考と哲学的エロス
1 限りなき愛知=哲学ーープラトンとバタイユを結ぶナンシー
2 バタイユにおける「哲学すること」
3 「哲学すること」の流れのなかに
終章 哲学というひとつの事象、複数の名
あとがき
参考文献
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