競奏(きょうそう)に身を投じる少女ーー重ねた勝利の果てに、少女は、なにを求めるのだろうか?パイプオルガンの製作者を目指す羽衣悠は、修行のため、ライプツィヒにある聖トーマス教会にやってきた。聖トーマス教会は、バッハが音楽監督を務めた教会として名高い。悠は、教会に附属のパイプオルガンに風を送る鞴師(ふいごし)として、空気力学を学ぶ。同僚で、バッハの子孫であるキヨラオーカ・バッハに、幼馴染で、聖トーマス教会少年合唱団に所属する鶴沢春紀。教会の専属オルガン奏者であり、競奏の絶対女王ーーヴィオレッタ・マルシャン。競奏ーー提示された主題に対し、対位法に基づいた三から四の声部を即興的に加えて成される変奏の優劣を競う。キヨラオーカとヴィオレッタの先祖、バッハとマルシャンが三百年前に行う予定で、結局は実現しなかった競奏の余波は、現代まで尾を引いていた。四人で過ごす何気なくも貴重な日常は、徐々に競奏に侵食されていく。キヨラオーカとヴィオレッタ、子孫たちの因縁に決着がつくとき、悠は、なにを選ぶのか……。悠のために、春紀が下した決断とは……。音楽小説専門レーベル《チェチーリアノベルス》の2作目が、満を持して登場!クラシック音楽を愛する全ての人に捧げます!本書は、青松書院から刊行した『音楽の捧げものなんていらない』を、大幅加筆・修正したものです。
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