モノの流通、経済の発展において要となる貨幣。
古来、その発行は、国家形成における重要なタームの一つであるが、中世日本においては、朝廷や幕府など公権力による貨幣発行はなされず、唐・宋・元・明などの中国歴代王朝により作られた銭が大量に流入し、さらには朝鮮半島の高麗・朝鮮やベトナムなど周辺諸国のものも加わり、それらの渡来銭を用いた貨幣流通が本格化する状況が現れることとなった。
公権力による裏付け・保証のない渡来銭が如何に国内通貨となり得たのか。
遠隔地決済を可能とする為替制度は、どのような信用基盤の上に成り立っていたのか。
そして、数百年間続いた渡来銭を基盤とする貨幣流通の状況に終止符をうった要因は何なのか。
貨幣というものの性質を考えるうえで興味深い問題を多数孕む日本の中世貨幣を、文献・考古資料を博捜し、東アジア的視点からも捉えなおす画期的成果。
序言 中島圭一
第一部 中世貨幣の成立と展開
渡来銭流通の開始と確立をめぐって 中島圭一
中世手形の信用とその決済システムについて 伊藤啓介
割符のしくみの応用技術 井上正夫
中世日本に銭は足りていたか 高木久史
第二部 貨幣をめぐる明と日本
永樂通寳日本流入経路の検討ー東南アジア経路説の提唱 古澤義久
永楽銭の流通 川戸貴史
中世後期日本の貨幣流通と東アジア 大田由紀夫
撰銭と東アジア銭貨流通 中島楽章
第三部 出土銭からみた貨幣流通
個別出土銭からみた銭貨流通の地域差ー東国を中心に 石神裕之
出土銭貨研究の諸相ー近年の動向から 櫻木晋一
琉球列島の出土銭貨 宮城弘樹
東ユーラシアの銭貨流通モデル 三宅俊彦
第四部 中世から近世へ
南京銭と鍛(ちゃん)再考 本多博之
織田信長の撰銭令をめぐって 平井上総
十六〜十七世紀伊勢神宮地域をめぐる信用と金融の実像 千枝大志
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