聖なる異才の核心に迫る
裕福なユダヤ人家庭に生まれ、教育熱心な両親の元で育ったシモーヌ・ヴェイユ。16歳でバカロレア(大学入学資格試験)、22歳という若さでアグレガシヨン(大学教授資格試験)に合格するも、その12年後、わずか34年で生涯を終える。
本書は、シモーヌ・ヴェイユの兄であり数学者のアンドレ・ヴェイユから、「全集」(ガリマール社)の編纂を託され、2010年まで責任編集者を務めたフロランス・ド・リュシーによる待望のヴェイユ論である。ヴェイユの遺稿を手にしたカミュが「現代の唯一の偉大な精神」と呼んだように、この全集の編纂者は、34年の生涯にしては厖大すぎる量の書簡や日記、エッセーから何を読みとったのか。
「重力」「不幸」「神」「根を持つこと」など、ヴェイユが取り組んだテーマを解説しながら、その人生と魂の遍歴を描き、聖なる異才の核心に迫る。
第一章 知的教育
知の崇拝/最優秀を狙う/ある魂にねらいを定める
第二章 思想に召されて
エリートの養成/宗教に入るように思想に入る/教化のかたち
第三章 「下層の人びと」を守る
アグレッシブな戦闘的態度/共産主義と反スターリン主義の間/方法の必要性について
第四章 ゆっくりと超越のほうへ
不幸についての瞑想/作品と人生の基軸、すなわち『服従と自由についての省察』/思考と思考の悲劇/数学と神秘哲学/重要な選択の岐路で
第五章 『カイエ』-実験ノートそして魂の手記
科学、ただ科学だけ/思考のための/「明らかな事物のむずかしい理解」/科学的なモデル/思考の方程式/ニューヨークの「カイエ」
第六章 純粋思弁のほうへ
第七章 風変わりなキリスト者
意識の奥底に潜む、旧約聖書の拒絶/キリスト主義/ローマの教権に対する辛辣な異議申し立て
第八章 不幸とよろこびの間
第九章 聞かれないメッセージ
失望/「人格と聖なるもの」すなわち語彙の転倒/『根をもつこと』すなわち遺言/物言わぬ真理/一貫した道、一貫した思想
第十章 行き過ぎと悪い癖
傲慢の誘惑/ユダヤ教の放棄
第十一章 人物、エクリチュール
際立った人物/文体、エクリチュール
結論
年譜
訳者あとがき
文献
レビュー(0件)