●名著『患者から学ぶ』から続く第四作目。援助の専門家として保護観察官、ソーシャルワーカー、心理療法家、精神分析家と独自の歩みを進めてきたケースメントが自らのヒストリーを語る。本書に収められている専門職としての経験は、それぞれの専門職に現在就いている方にとても役に立つものである。
●ケースメントさんは援助の専門家として保護観察官、ソーシャルワーカー、心理療法家、精神分析家と独自の歩みを進めてきました。本書に収められているそうした専門職としての経験も、それぞれの専門職に現在就いている方が本書を読まれるならとても役に立つものです。私は本書が精神分析にかかわっている方や関心を抱いている方にかぎらず、保護観察官、ソーシャルワーカー、さまざまな心理職、調査官といった援助職の方たちに読まれることを切望します。本書が、私たちそれぞれの仕事の困難の中に希望を見出す手助けをしてくれる著作であると私は信じます。(「監訳者まえがき」より)
●目次
監訳者まえがき
まえがき ポール・ウィリアムズ教授
謝辞/はじめに
第1部 発展
第1章 人生から学ぶ 第2章 方向感覚の出現 第3章 理論のための場所を見つけること 第4章 「いいえ」ということを学ぶ 第5章 憎しみとコンテインメント 第6章 サミュエル・ベケットの母国語との関係 第7章 喪の哀悼と哀悼の失敗 第8章 実践中のこころの中のスーパーヴィジョン:症例提示 第9章 臨床的な触角を発達させる
第2部 熟考
第10章 説明しにくいいくつかのこと 第11章 確実さと確かでないこと 第12章 振り返り
参考文献/訳者あとがき
■解説
本書『人生から学ぶ 一人の精神分析家になること』は、英国精神分析協会に所属する精神分析家パトリック・ケースメント著 Learning from Life BECOMING A PSYCHOANALYST Routledge 2006 を全訳したものです。ケースメント氏のこれまでの著書『患者から学ぶ』『さらに患者から学ぶ』『あやまちから学ぶ』は、日本を含む世界十数カ国で翻訳されており、前著『あやまちから学ぶ』は米国でも高く評価され、グラディーバ賞を授与されています。このようにこれまでの著作がいずれも好評を博していますので、ここで改めて著者について紹介する必要もないほどにケースメント氏の名前は、日本でも多くの方々に知られ親しまれていると思います。本書はこの「から学ぶ」シリーズの4作目にあたります。
* * * * *
本書は精神分析の抽象的な理論書ではありません。臨床についてのHow to 本でもありません。もしかすると副題から想像されるかもしれませんが、精神分析家になるための手引書でもありません。ここに述べられているのは、深く心を動かされるケースメント氏自身の人生であり、精神分析との出会いです。ケースメント氏は精神分析家になるための訓練分析ではなく、自らの必要から精神分析に入ったことを「特別配当」という幸運であったと述べています。第2章に詳しく描かれているように、ケースメント氏は精神分析を深く求めていたし、出会うべくして出会われたようです。その出会いによってケースメント氏の人生が変えられ、さらにケースメント氏と臨床の中で出会った多くの人たちの人生が変えられていったのでしょう。このように精神分析臨床は、分析家の人となりやあり方、生き方とわかち難く結びついています。それを抜きにして抽象化された理論や技法はありえません。(「訳者あとがき」より)
レビュー(0件)