本書の目的は、前ベニグノ・アキノ政権(2010〜2016年)や現ロドリゴ・ドゥテルテ政権下(2016~2022年)「包摂的な成長」の実現と「高位中所得国入り」をめざしているフィリピンについて、21世紀に入ってから現在までの政治・経済を改めて概観することである。長らく「アジアの病人」と呼ばれてきた同国が、現在享受している好況を背景に自らを「最後の龍」と呼ぶのであれば、それを持続的な成長へと転換することは可能なのだろうか。生産や雇用面、あるいは急速な成長で経済を支える産業の現状を確認するとともに、可能な場合には、それら産業の高度化や、前アキノおよび現ドゥテルテ政権がキーワードとして採用する包摂的成長への課題を提示する。そして、フィリピンについてさらに知る/考えるための「情報(データ)を入手するための情報」を提供する。
総論 フィリピン「最後の龍」の夢と野望 柏原 千英
1.はじめに
2.初の長期開発ビジョンとドゥテルテ政権の「重点社会・経済政策10項目」
3.本書の構成と各章の概要
4.本書のまとめと2040年への展望
5.おわりに
第1部 マクロ経済と政治
第1章 経済概観 鈴木 有理佳
1.はじめに
2.マクロ経済
3.地域間格差
4.貧困と所得格差
5.労働市場
6.産業構造
7.おわりに
第2章 21世紀フィリピン政治経済の変化と継続ー連合政治に基づく一考察ー 高木 佑輔
1.はじめに
2.民主化とピープルパワー連合
3.内政と外交上の主要政策における変化と継続
4.連合政治の展開
5.ドゥテルテ政権における政策の継続と変化
6.おわりにー今後の展望ー
第2部 国内消費(経済)と支える産業
第3章 食料品産業 鈴木 有理佳
1.はじめに
2.食料品需要
3.食料品産業の位置づけ
4.業種別動向
5.労働生産性
6.企業動向
7.おわりに
第4章 卸売・小売業と運輸・倉庫業 鈴木 有理佳
1.はじめに
2.卸売・小売業
3.運輸・倉庫業
4.おわりに
第3部 経済の「血液」と新たな成長産業
第5章 金融(銀行)業 柏原 千英
1.はじめに
2.2000年以降の銀行部門
3.BSPによる施策ー自由化、経営基盤の強化、金融包摂プログラムー
4.おわりに
第6章 ビジネス・プロセス・アウトソーシング産業 柏原 千英
1.はじめに
2.フィリピンにおけるIT-BPO.産業と行動計画(ロードマップ)
3.国際的にみるフィリピンIT-BPO産業の位置づけと課題
4.人材確保と育成、インフラの現状
5.おわりに
資料紹介と解説 フィリピンに関する統計資料・レポート類について 柏原 千英
1.はじめにー「たかが統計、されど統計」のわけー
2.おもな統計シリーズ、データや資料ーどこで、どのように探すかー
3.企業情報・データについて
4.オープン・データ・ポータルーフィリピン政府版ー
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