本書では、大正昭和期に活躍した思想家・木村素衞の教育思想を導きとし、その一つの特色である身体論を軸に、実践的表現を重視する今日の学びを捉えなおす。「表現」「形成」「作ること」を生命現象として深く探究した木村教育学を紐解き、文化と教育の有機的で創造的な連関構造を解明する。木村教育学が今日に果たす意義と可能性を問う。
まえがき
凡 例
序 章 「表現愛」思想再読
1 身体論から読み解く
2 思想再発見の道のり
3 本書の構成
第1部 木村素衞における身体論の系譜──「表現愛」の人間学の三原理
第1章 「表現愛」思想の土壌
1 「表現的制作人間の人間学」の立場
2 身体論の萌芽──論文「一打の鑿」のポイエシス身体論
3 身体論の展開──論文「意志と行為」のプラクシス身体論
4 「鑿の意志」の滅却
第2章 「ポイエシス=プラクシス」を原理とする身体
1 京都学派の身体論
2 「=」記号の論理背景1──田邊元の「絶対弁証法」
3 「=」記号の論理背景2──西田幾多郎の「行為的直観」
4 後期教育学の「ポイエシス=プラクシス」原理
第3章 「歴史的自然」に根差す身体
1 世界構造化の原理「表現愛」──「表現」という言葉の内実
2 「表現愛」における主体性の三位相構造
3 「歴史的自然」のイデア的先取
4 「表現愛」を織り成す「エロス」と「アガペ」
5 「表現愛」思想における教育学構想
第4章 「情趣」を生きる身体
1 学術的理解を拒絶する「美」
2 美的人間形成論の通奏低音──「純粋感情」の美的作用
3 美的人間形成論の主体性──技術的身体性の端緒「情趣的主体」
4 「情趣」が拓く関係性の迂回路
5 「表現愛」の人間学の図示化
第2部 「表現愛」の人間学が臨む〈文化ー教育〉の創造的連関
第5章 技術的身体を育む教育原理──教材論と教授法
1 木村教育学の基本的枠組み
2 〈文化ー教育〉の創造的連関点としての「教材」
3 「追形成」という教授法
4 「芸術的名手」としての教師
5 教育内容とその課題性
第6章 技術的身体論の失跡──「教育愛」論の課題性
1 教育愛論の難点
2 身体論の参照軸1──三木清の唯物史観研究
3 身体論の参照軸2──三木清の技術哲学
4 教育愛論の展開可能性
第7章 技術的身体論の転調──「世界史的表現愛」論の課題性
1 国民国家論の理論的土台1──フィヒテ知識学と国民教育論
2 国民国家論の理論的土台2──田邊哲学「種の論理」の展開
3 「世界史的表現愛」の立場
4 「離身的延長」される「道」としての技術的身体
終 章 「表現愛」の人間学からの展望
1 文化芸術が育むコミュニケーション
2 「表現愛」の人間学が拓く学びの内実
3 社会功利主義を超えて──糸賀一雄との思想的つながり
4 「表現」「形成」「作ること」の身体知
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おわりに
初出一覧
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