著者は河合塾の英語科を担当し、1980年代後半から三十余年にわたって多くの若者の支持を得てきた。同時に河合文化教育研究所で「ドストエフスキイ研究会」を主宰し、教え子である大学生や社会人と学ぶ場を共有し続けた。そこで出会った若者たちを中心とする約六十名の青春を振り返り、現在にも続く彼らとの交流をまとめた第一部。そして、著者の少年時代から、とりわけ1960年代の浪人時代から三十代にかけての煩悶と覚醒が、塾の恩師の導きの許にあったと語る第二部。その恩師小出次雄とその師である西田幾多郎との師弟関係は、著者への厳しくも慈愛に満ちた関係にも受け継がれ、ついにドストエフスキイを軸として河合塾という予備校空間で奇跡的にリレーされたのだ。その百年近くにわたる「教えのかたち」のドラマがこの書にはある。
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