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智に働けば角がたつ、情に棹させば流されるー春の山路を登りつめた青年画家は、やがてとある温泉場で才気あふれる女、那美と出会う。俗塵を離れた山奥の桃源郷を舞台に、絢爛豊富な語彙と多彩な文章を駆使して絵画的感覚美の世界を描き、自然主義や西欧文学の現実主義への批判を込めて、その対極に位置する東洋趣味を高唱。『吾輩は猫である』『坊っちゃん』とならぶ初期の代表作。
智に働けば角がたつ、情に棹させば流されるー春の山路を登りつめた青年画家は、やがてとある温泉場で才気あふれる女、那美と出会う。俗塵を離れた山奥の桃源郷を舞台に、絢爛豊富な語彙と多彩な文章を駆使して絵画的感覚美の世界を描き、自然主義や西欧文学の現実主義への批判を込めて、その対極に位置する東洋趣味を高唱。『吾輩は猫である』『坊っちゃん』とならぶ初期の代表作。
レビュー(210件)
素晴らしい本です、素晴らしい本です。素晴らしい本です。
博識の崖
グレン・グールドが愛した作品ということで読み返してみたくなった。はっきりいってさっぱりわからない。確かにどこにも属さない部類の小説。
「三四郎」をはじめとする三部作が好きですが、「草枕」は趣が全く違って、難解でした。 ですが、名作は一通り読んでおきたいです。
有名な「…智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。…」の書き出しで始まる漱石初期の小説。青年画家はとある温泉場で那美という才気ある女と出会うが、彼の主義とする「非人情(不人情ではない)」から、二人の間で何かが起きそうで起きない。また、青年画家は絵を描くのが目的なのに、頭の中であれやこれや、時に妄想的な理屈をこねくり回しながら、何一つ作品をものにできない。那美と元夫との遣り取りが絡んで青年画家の目を通して物語は終わる。読み方によっては、芸術のための芸術を批判した作品と言えるかもしれない。
うんと若いころは「夏目漱石作品」がよく解らなかった。でも改めて40代に入って読んでみると、その深みのある素晴らしさに夢中になれる。