大老井伊直弼ほど毀誉褒貶のはなはだしい人物も史上にまれであろう。井伊家は従来永く大老関係の史料を秘してきたが,戦後これを公開した。著者はこれらの新史料を縦横に駆使して,条約調印・将軍継嗣の問題,安政の大獄はもとより,学問・修養から若き日の悲恋まで,直弼の人間性を追求し,渦中の人物を美事に描き出している。
はしがき/埋木舎の窮庶子(生い立ち/埋木舎/禅と居合と茶道の研究/国学の研究と長野義言/若き日の悩み)/彦根藩世子(養父直亮と直弼/溜間詰の意識/相州警備)/彦根藩主(直亮の逝去と直弼の襲封/米国処置に対する意見/京都守護と直弼の朝廷尊崇)/溜間詰筆頭(通商貿易に対する意見/将軍継嗣問題と直弼/直弼と斉昭/溜間詰の結束/直弼の京都入説)/大老(大老就職/日米条約の調印と将軍継嗣の決定)/安政の大獄(水戸藩への降勅と長野義言の探索/大獄の発端/九条関白の辞職問題と直弼の決意/間部閣老の入京と志士の逮捕/直弼の激励と間部閣老の弁疏/宮・堂上の処分と勅諚返納問題/大獄の処断/大獄と直弼の心事)/桜田門外の変(水戸浪士の除奸計画/直弼の最期)/井伊家系図/略年譜
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