その日、共謀罪による初めての容疑者が逮捕されようとしていた。動いたのは警視庁組織犯罪対策部。標的は、大手自動車メーカー〈ユシマ〉の若い非正規工員・矢上達也、脇隼人、秋山宏典、泉原順平。四人は完璧な監視下にあり、身柄確保は確実と思われた。ところが突如発生した火災の混乱に乗じて四人は逃亡する。誰かが彼らに警察の動きを伝えたのだ。所轄の刑事・薮下は、この逮捕劇には裏があると読んで独自に捜査を開始。一方、散り散りに逃亡した四人は、ひとつの場所を目指していた。千葉県の笛ヶ浜にある〈夏の家〉だ。そこで過ごした夏期休暇こそが、すべての発端だったーー。
自分の生きる社会はもちろん、自分の人生も自分で思うようにはできない。見知らぬ多くの人々の行為や思惑が作用し合って現実が動いていく。だからこそ、それぞれが最善を尽くすほかないのだ。共謀罪始動の真相を追う薮下。この国をもはや沈みゆく船と考え、超法規的な手段で一変させようと試みるキャリア官僚。心を病んだ小学生時代の友人を見舞っては、噛み合わない会話を続ける日夏康章。怒りと欲望、信頼と打算、野心と矜持。それぞれの思いが交錯する。逃亡のさなか、四人が決意した最後の実力行使の手段とはーー。
最注目作家・太田愛が描く、瑞々しくも切実な希望と成長の社会派青春群像劇。第26回大藪春彦賞受賞作。
第一章 事件
第二章 発端の夏
第三章 追う者たち
第四章 Are you ready to kill?
第五章 反旗
第六章 力なき者たちの力
終 章 標的
レビュー(158件)
沢山読みたい
太田愛氏の作品が好きです。期待します。直ぐに届きました。ありがとうございました。
とても面白く、働くことに対して考えさせられる小説でした。非正規雇用の主人公達が夏休みに正規雇用の社員に誘われ千葉へ遊びに行き、墓掃除をしていて嫌な正規社員や職場の不満を言ってるのを正規雇用の社員の義姉に聞かれ義姉がお前たちがバカだからお前らの会社は楽で良いなと言うシーンを読んでて白土三平先生のカムイ伝を思いだしました。 士農工商の時代に農民の五人組制度で年貢を納められなかったり逃げた農民を非人に捕まえさせ処刑させ体制側に農民の恨みが非人にむかうようにしていたと。
待ち遠しい
地方新聞の連載小説だったので、飛び飛びに読んでいた 途中、中弛みで読まない時期があったが、再開すると面白くなっていて、最初から是非読みたいと思っていた 不意に思い出して購入 お正月休み、まったりした時間に、ドップリ浸かろうと心待ちにしている