●卓越した治療技法と臨床感覚を生き生きと再現
●小児科医・精神分析家ウィニコットが,子どもを対象に行なった治療相談面接21例の記録。神経症からスキゾイド,反社会的傾向まで,多彩な症例を取り扱うウィニコットの卓越した治療技法と臨床感覚が,主にスクィグル・ゲームという一種の遊戯療法を通して,臨場感豊かに再現される。
●本書はそれぞれの症例の治療の全経過が具体的に記述されているので,ウィニコットの教育分析を受けたガントリップをして「治療においてフロイトを越えた」と言わしめた,ウィニコットの卓越した治療技法と臨床感覚の一端を垣間見ることができる。
本書で紹介されている治療相談面接は,主に1回の面接で行なわれている。これは,この治療相談面接が初回面接を十分に利用すること,つまり,子どもと初めて出会い,まだ治療者が子どもの「主観的対象」である間にコミュニケートするためというばかりでなく,ロンドンのウィニコットのところにはイギリス各地から多数の患者が紹介されて来るので,1回の面接で「やるべき作業をやってしまう」ような治療技法を開発することが要請されたためであろう。
また,ほとんどの症例においてスクィグル・ゲームが用いられている。スクィグル・ゲームは一種の投影法でもあるため,言語化されえない子どもの前意識的,無意識的内容を描画として表出させる機能をもっている。したがって,そこで交わされるコミュニケーションは,かなり深いレベルにまで到達することになる。ウィニコットは『遊ぶことと現実』のなかで,「遊びにおいて,遊ぶことにおいてのみ,個人は,子どもでも大人でも,創造的になることができ,その全人格を使うことができるのである。そして,個人は創造的である場合のみ,自己を発見できるのである」と述べているが,その具体的実践の一つが,治療相談面接の中で行なわれるスクィグル・ゲームなのである。(「訳者あとがき」より)
●第1部 序/症例 イーロ(9歳9カ月)/ロビン(6歳)/イライザ(7歳半)/ボブ(9歳)/ロバート(9歳)/ローズマリー(10歳)/アルフレッド(10歳)
第2部 序/症例 チャールズ(9歳)/アシュトン(12歳)/アルバート(7歳9カ月)/ヘスタ(16歳)/ミルトン(8歳)
第3部 序/ 症例 エイダ(8歳)/セシル(初診時生後21カ月)/マーク(12歳)/ピーター(13歳)/ルース(8歳)/夫人(30歳・アンナ〈6歳〉の母親)/リリー(6歳)/ジェイソン(8歳9カ月)/ジョージ(13歳)
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