【POD】中小企業の次世代生産システム対応に関する研究
「ものづくり」は、第4次生産革命によって今まさに変貌を遂げようとしている。それは、独のインダストリー4.0 などIoT に代表される情報通信技術の進歩が工場をつなぎ、同期・連動生産によって「ものづくり」を変えるというものである。それは、製造業が避けて通ることのできない課題であり、とりわけ経営資源(資本、人材)の乏しい中小企業は、多くの課題と困難がともなう。本書は、中小製造業がこの生産革新の課題を如何にして解決すべきか、その方策を提言するものである。「第1部 次世代生産システムの現状と課題」この「ものづくり革新」の実現には、生産組織の生産意思決定としての生産スケジューリングが重要である。そして、「見える化」は計画と実績との乖離把握によって生産状況の良否を評価・判定するものであるから、評価基準(「ものさし」)となるべき生産スケジューリング結果(「生産順序」、「着工/完成日時」)の精度が「見える化」の有効性のカギを握る。「第2部 生産スケジューリングの現状と課題」既存の生産スケジューリングは、考慮すべき生産条件間の干渉により納得性のある結果が得られていない。次世代生産システムにおいては、生産条件の「網羅性」を高めつつ、結果への「納得性」も得られるような生産条件間の「調停機能」が課題となる。「第3部 新しい生産スケジューリングの実用化に向けて」時流の「AI」は選択せず、既存の「OR」(経営工学的アプローチ)に加えて社会科学の知見から「行動経済学」の「プロスペクト理論」を応用し融合させ、相対的な心理的価値により生産意思決定を図る新しい手法について研究。工学的手法だけでは納得解を得にくい状況において、この社会科学の知見が補完する形で競合する条件間の「調停機能」をうまく果たす。「第4部 中小企業の次世代生産システム対応」経営資源の乏しい中小企業における「行動経済学」を応用した新しい生産スケジューリングの実現策として、一般人材でも活用できる平易な表計算ソフト(Microsoft Excel)を利用し、誰でも同じ結果と納得が得られる「生産スケジューリング支援ツール」を試作し、評価する。これら研究結果から、必ずしも最新IT技術の導入がなくとも既存技術に対して課題解決に必要な知見を付加し活用することにより新たな解決力が発揮できるとの結論に至った。そして、それは経営資源の少ない中小企業にあって課題解決の有効な手段になるとした。
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