日曜日の朝、美幸は電話に起されます。当の昔に忘れていた篠崎雅史の妹を名乗る女からで、兄を一緒に探して欲しい、とのことでした。出向いたのは浅間山の麓に広がる信濃追分の森。森の案内人である紙屋氏は「森は常に動いている」と主張します。森の奥で人は自分が本当に会いたいと念じた相手に会うことが出来るのだ、と。しかし痕跡らしきものが見つかるだけで雅史はいません。森の美しさは恐ろしさへと変じていきます。霧に覆われた山道に迷い、記憶までが揺らいでしまいます。自分が本当に会いたかったのは誰なのか。謎は深まり、問いかけは木霊します。暗闇でおぼろに現れた人型から必死になって逃れ、ついには悟るのです。探していたのは自分自身なのかもしれない、と。
レビュー(0件)