「アラフォー女子の厄災」に続く緒真坂の新作。中編1つ、短編3つを収録。「小説屋 平賀円内」小説を完成させてはいるが、臆病な自尊心を持っているため、なかなか発表できない男に、ある日、一通のメールが届く。「あなたの小説を読んで感動しました」小説家志望の大型書店アルバイトの挫折と決意を描く。「汁」昭和34年に刊行された文芸同人誌「汁」の無名の覆面作家、花園地図。たまたま家の書棚にしまってあったその作家の小説を読んだことから、「私」は作品に惹かれ、作家の秘密をさぐろうとする。たどり着いた末に発見した、意外な顛末とは。「君に届かない」レコード店の息子、高校生の「ぼく」と向かいの本屋の娘、メイは幼馴染。メイの友人玻璃にストーカーがいるらしいとメイから相談された「ぼく」は、アイドルヲタクの小林から聞いた地域限定の女子高生投稿サイトのなかに犯人がいるのではないかと疑い、追い始めるが、物語は、意外な方向に転がり始める。アニメ「君に届け」が放送されていた、2009年秋から2010年春にかけて起こったできごと。決して君に届くことがなかった物語。「グラスハープ」南池袋でひっそりと営業している個人営業のコーヒー専門店、「グラスハープ」店長は、学生運動世代の寡黙な老人だった。そこに美しい30代の「私」がふらっとアルバイトにやってくる。老人が過去を話し始めたとき、「私」の過去も明らかになっていく。現実と妄想が混然一体となった幻想的な物語。
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