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【第 9 回河合隼雄物語賞受賞作品】 松岡清澄、高校一年生。一歳の頃に父と母が離婚し、祖母と、市役所勤めの母と、結婚を控えた姉の水青との四人暮らし。 学校で手芸好きをからかわれ、周囲から浮いている清澄は、かわいいものや華やかな場が苦手な姉のため、ウェディングドレスを手作りすると宣言するがーー「みなも」 いつまでも父親になれない夫と離婚し、必死に生きてきたけれど、息子の清澄は扱いづらくなるばかり。そんな時、母が教えてくれた、子育てに大切な「失敗する権利」とはーー「愛の泉」ほか全六章。 世の中の〈普通〉を踏み越えていく、清々しい家族小説。 【著者略歴】 寺地はるな(てらち・はるな) 1977 年佐賀県生まれ。大阪府在住。会社勤めと主婦業のかたわら小説を書き始め、2014 年『ビオレタ』でポプラ社新人賞を受賞しデビュー。20年咲くやこの花賞を、21年『水を縫う』で第9回河合隼雄物語賞を受賞。『大人は泣かないと思っていた』『ガラスの海を渡る舟』『タイムマシンに乗れないぼくたち』『カレーの時間』『川のほとりに立つ者は』『白ゆき紅ばら』など著書多数。
レビュー(216件)
初めて寺地はるなさんの本を読みました。 主人公がそれぞれ変わっていく一つの物語のため少しずつ読めるのが良いです。 心情が丁寧に書かれ他の人の立場から見ていた時と本人の立場からでは こんなに違うのかと痛いほど気持ちが伝わってきます。 登場人物全員に語って欲しいくらいの物語でした。
素敵
寺地はるなさんの作品はこれが初めて。 内容は ◯◯らしさ。 という他者の声から自分を守り抜く人々のお話。 それぞれの章の視点が家族(清澄・父(黒田さん)・母・祖母・姉)で語られているのが印象的だった。 特に祖母のお話はラスト涙してしまった。 家族について、普通について考える素敵な作品。 タイトルの意味は、お話の最後で分かりました。
温かい気持ちになることが多い作家だと思っています。 今回もなかなか良かったです。