作家、書評家絶賛の長編ノワール、ついに文庫化!!
台湾プロ野球で八百長に手を染め、罪から逃れるために殺しを重ねた加倉は、逃れ着いたイタリアで殺し以外なら仕事を選ばない何でも屋「暗手」として生きていた。そこへ、サッカー賭博の帝王・王天から依頼が舞い込む。プロリーグ・ロッコに所属する日本人ゴールキーパー・大森に八百長をさせろというのだ。仕事に取りかかった加倉は、大森の姉・綾の写真を見て衝撃を受ける……。馳星周、原点回帰にして究極のクライムノベル!
◆『不夜城』『夜光虫』の衝撃から20年
作家、書評家より、賞賛の声続々!!◆
言い訳はしない。赦しも求めない。ただ傷ついたまま、男はより深い闇へと分け入る。
破滅へと向かう独りよがりの自我を描かせたら、やはり馳星周はピカイチだ。
東山彰良(作家)
生への意味を、誰かの中に見出そうとする虚しさと渇き。決して実らない祈り。
桁違いの業深さ、ここにあり。
垣根涼介(作家)
初期への回帰!馳 星周節が戻ってきた!
謳いあげられる血まみれの絶望と孤独の何と甘美なことか。
池上冬樹(文芸評論家)
『夜光虫』から19年。主人公・加倉昭彦の復活は、馳 星周の新たな可能性を拓いた。
裏社会で蠢く、血に飢えた男たちの姿に胃の腑が抉られる。
弩級のエンターテインメントだ。
東 えりか(書評家)
一度地獄に堕ちた人間をさらに突き落とす。
これは馳 星周にしか書けない、もっとも危険で哀しいゲームだ。
杉江松恋(書評家)
最初の1ページで、一撃で、否応無しに物語世界に引きずり込まれる。
自己記録を更新し続ける馳 星周の、完全なる最高傑作。
吉田大助(書評家)
レビュー(14件)
暗手
裏の世界で生きる人のお話は、興味深く面白かったです。非現実的なお話は、へー、へーと想像しながら楽しめました。小説は、日本人の作家さんが好きです。
「裏の世界」に生きる男の物語で、テンポよくドンドン展開する物語に引き込まれる… 題名の『暗手』(あんしゅ)とは、本作の主要視点人物である「裏の世界」に生きる男の“通名”である。 「暗手」は日本人の元プロ野球選手で、台湾のプロ野球に流れた時に“八百長”に関わってしまう。それが契機で殺人を重ねてしまった経過が在り、台湾から欧州へ流れ着き、顔も変え、変名を使い分けて暮らしている。そして中国系のグループによる、サッカー賭博を巡る八百長の工作等、「殺し以外は何でも」と様々な裏仕事をしていて、「暗手」という通名になる。現在はイタリアのミラノに在る。 物語はミラノ辺りを主な舞台として展開する。 「暗手」は、“セリエA”に昇格したミラノ近郊のチームが迎えた日本人のゴールキーパーの大森を“八百長”に巻き込む工作を請け負った。 「暗手」は「ミラノで貿易を営む日本人事業家の高中」と名乗って大森に接近し、大森を絡め取ろうと工作を重ねる。そうした中「棄てた」筈である過去を強く意識させる出逢いが生じてしまう。 「暗手」が負っている過去と、立ち向かわなければならなくなった状況、そして繰り広げられる死闘…一寸夢中になる。