ロシアによるウクライナ侵攻開始から1年。核兵器の使用も懸念される非道で残酷な戦争を終結させる方法はあるのか。周辺国や大国をはじめとする国際社会、そして日本が果たすべき役割とは何か。隣国での現地調査を踏まえ、ベトナム、アフガニスタン、イラクなど第二次世界大戦後の各地の戦争・内戦を振り返りつつ模索する。
はじめに
第1章 ウクライナ侵攻と、世界大戦の危機
想定される五つのシナリオ
戦争の長期化
動員」と四州の併合
核の恐怖と背中あわせの戦争
迷走する「ロシアの目標」と戦争終結への見通し
第2章 これまでの戦争はどう終わってきたのかーー第二次世界大戦後
軍事的勝利か、和平調停か
大国が侵攻した時ーー軍事介入とベトナム戦争
ベトナム戦争の教訓ーー戦争終結の難しさ
ソ連によるアフガン侵攻
アメリカのアフガン軍事介入
イラクへの侵攻とその後
侵攻を受けた側の戦略
和平交渉や和平合意の役割
シリアへの軍事介入の「誤った教訓」
第3章 和平調停・仲介の動き
国連への期待と限界
大国や周辺国の力(レバレッジ)
レバレッジを持つ米国と中国
開戦直後の和平交渉とトルコ
近づいた和平合意
ブチャでの民間人殺害
失われた機会?
トルコが仲介に乗り出す理由
国連の限定的調停と穀物輸出合意
ロシア側の事情
将来の和平交渉の土台に
第4章 経済制裁はどこまで効果があるのか
もう一つの政策手段「経済制裁」
頻発する米国の経済制裁
経済制裁の限界
制裁解除の条件の明示を
ロシアに対する制裁解除の条件
どこまでの奪還を目指すか
第5章 戦争終結の課題と、解決への模索
問題提起と反発
二月二四日ラインをめぐる論争
変わり始めた目標
ウクライナの選択と領土問題の解決
戦争終結への難問2 --戦争犯罪
国際刑事裁判所(ICC)の限界
大国の撤退と戦争犯罪
指導者が代わったケース
戦争終結と戦争犯罪の現実的判断ーー東ティモールの例
南スーダンの場合
平和の確立に向けて
争終結への難問3 --安全保障の枠組み
賠償問題と戦後復興
戦争終結への均衡点
第6章 日本のウクライナ難民支援ーー隣国モルドバでの活動
日本の対ロシア制裁とウクライナ支援
隣国モルドバへの難民流入
日本NGOの支援
温かい対応
日本政府・JICAの支援
精神的なダメージと、今後の支援
ウクライナ難民への心の支援
これからの支援に向け
第7章 今、日本は国際社会で何をすべきかーー深刻化するグローバルな脅威と日本
グローバル課題にどう立ち向かうか
世界各地で続く、軍事紛争とその対応
地球温暖化や干ばつへの対応
「グローバル課題」解決のファシリテーターとして
クリーン・エネルギー大国を
日本のNGO--中村哲医師の偉業と継承
「中村式灌漑」をアフガン全土へ
「民主主義」対「専制主義」を超えて
「自立と安定」を支援する外交を
日本の背中を示しつつ
おわりに
参考文献
レビュー(15件)
現在、非常に大きな問題となっているウクライナでの戦争を入口にしながら、軍事紛争に苦しんでいた状況の解決と事後の様々な事柄、そうした関係地域での日本の国際協力の経過というような幅広い話題を取上げ、ウクライナでの危険な状態を脱することを期したいとする内容で、読み応えが在る一冊になっていると思う。 「戦争の終わらせ方?」というようなことは、辞書や百科事典に載っているようなことでもないのかもしれない。が、「戦争が終わる」というのは、「何れかの陣営が軍事的に勝利」というような第2次大戦のような状態でもなければ「交渉による和平合意」ということにしかなり得ない。ロシア側が<特定軍事行動>と称する「侵攻」に端を発するウクライナでの戦争も、とりあえずは「交渉による和平合意」を目指す他に無いのかもしれない。そういうことで、少しの間模索された停戦合意の経過、それが沙汰止みのようになった後の経過等を本書では論じている。更に、色々な事例や、幾人かの論者が取上げている論点を紹介し、「戦争犯罪」なるモノの取り扱いを巡る事柄も取上げている。こういう事柄を論じている例は余り知らず、少し参考になった。加えて「経済制裁」に関する事も広く論じられていた。 既に戦争は1年も経ち、ウクライナ各地の民間人の間では子ども達に至る迄、戦争状態が日常化してしまうような状況に陥っている。少しでも早く停戦への動きが加速して頂きたいものだ。そして戦禍で荒廃してしまった国を建直すというような動きの中、様々な国際協力の模索ということも在るであろう。そういう国際協力ということに関して、日本は存外に豊富な経験を有しているということも本書では紹介されている。 残念ながら、開戦から丸1年を経て、停戦の動きは未だ視えない感である中だが、それ故に本書には「とりあえず読むべき!」という内容が込められていると思う。御薦め!