インターネットの普及にともない、かつてない情報伝達のスピードで世界が繫がっている。また技術のコモディティ化が浸透し、世界のあらゆる人びとが同じ工業製品を手にしている。こうしたチャネルを通じて、多様化した文化、価値観が世界を瞬く間に統合しようとするトレンドも強烈なものに感じられる。
一方で21世紀に入り、世界経済の基軸がアメリカから中国と移行しつつある。しかし、中国は西欧諸国とは政治経済システムが大きく異なり、また、漢字使用や儒教思想など文化的にも隔たりがあり、その独自性を保っている。グローバル経済の新たな拠点が中国へ誕生したことは、経済的な面にとどまらず、文化的にも世界に新たな潮流が生み出されたことを意味している。
グローバリズムとローカリズムが混在する現代の資本主義世界を理解するためには、重層的かつ多角的な分析が必要である。本書は専門分野の垣根を越え、「21世紀」「資本主義」「中国」「新興国」「環境」「言語・文化」というキーワードを横糸として、学際的視点で「転換期の世界」を観察・研究しようと試みたものである。
総論──現代世界の基本問題
アジア・中国の世紀における中国巨大資本主義(五味久壽)
環境と経済の間ーー21世紀の文明史的課題(元木靖)
現代資本主義の転換と経済学の課題
第1章 資本主義論の諸問題(中村宗之)
第2章 情報技術革命の現局面と人類史的意味ーー情報データ分析による自動化・ロボット化の進行過程(田中裕之)
第3章 マルクス経済学の現代的課題(北原克宣)
新興国経済の台頭──中国とブラジル
第4章 中国資本主義に関する論考─-「複合型資本主義」の様相(苑志佳)
第5章 人民元の為替相場制度の変遷(潘 福平・林 康史)
第6章 経済グローバル化時代における発展途上国の産業発展と政府の役割ーーブラジル自動車産業の事例を基に(芹田浩司)
現代社会の変容──環境倫理・メディア言語・漢字文化
第7章 儒教における環境倫理思想ーー人間と動植物の同質性および仁の限界をめぐって(田中有紀)
第8章 新聞メディアの社会言語学的アプローチーー批判的ディスコース分析(CDA) の一考察(ホーマン由佳)
第9章 情報処理をめぐる漢字の現状と未来(森山秀二)
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