北の町に暮らす人々を描く悲運の作家の遺作
「海炭市叙景」は、90年に自死を遂げた作家、佐藤泰志(1949-90)の遺作となった短編連作です。海に囲まれた北の町、「海炭市」(佐藤の故郷である函館市がモデルです)に暮らすさまざまな人々の日常を淡々と描き、落ち着いた筆致の底から、「普通の人々」の悲しみと喜び、絶望と希望があざやかに浮かび上がってきます。この作品が執筆された当時はいわゆる「バブル」時代でしたが、地方都市の経済的逼迫はすでに始まっていました。20年の歳月を経て、佐藤泰志が描いたこの作品内の状況は、よりリアルに私たちに迫ってくると言えます。
函館市民たちが主導した映画(熊切和嘉監督・加瀬亮、谷村美月、小林薫、南果歩などが出演)の公開は2010年12月の予定。映画化をきっかけに、心ある読者に愛されてきた幻の名作が、ついに文庫となって登場します。
【編集担当からのおすすめ情報】
映画「海炭市叙景」は、東京国際映画祭コンペティション出品作です。12月18日から渋谷ユーロスペース・横浜ジャック&ベティ、川崎アートセンター他で上映予定。以後、全国数十館でも上映の予定です。
*12月にフィリピンで開催された第12回シネマニラ国際映画祭で、グランプリと最優秀俳優賞(アンサンブル・キャスト)をダブル受賞しました!
*「本の雑誌」増刊「文庫王国2010-2011」誌上で、「本の雑誌が選ぶ2010年度文庫ベストテン」3位に選ばれました!
レビュー(96件)
佐藤泰志は永遠に
今の時代にこそ佐藤泰志の文学は必要だ。再評価が進む2020年代を、彼は草葉の影でどう見ているのだろう。佐藤泰志の筆は間違いなかった。ただ、時代が彼に理解を示さなかった。佐藤泰志が書いた海炭市は、今や日本のありふれた情景だ。 海炭市の群像劇。冒頭は、兄妹の陰惨な状況から物語が始まる。首を項垂れたくなるような事情を抱える登場人物が殆どだが、妙な柔らかさと、希望すら感じられる。人々の一挙一動に、海炭市の情景が差し込まれている表現のためか。海炭市という一つの生き物が、自らに住まう人々を見守っているかのよう。その視点は佐藤泰志自身の視点でもあるのかもしれない。
高校生の子供が受けた模試に使用されていました。内容が面白かったから読んでみたいと言うので購入しました。 書店ではみつからなかったので助かりました。
大満足です
暗い映画をみたので、原作がどれくらい暗いか興味をもって 購入しました。満足でした。
映画化
映画化されるという事で気になり購入。 短編集で読みやすいのですが、暗い。 映画自体もオムニバスだそうだが、この暗さをどう表現するのか? 公開が楽しみだ。
映画化にあわせて
以前ハードカバーを読んだことがありましたが、映画化されるにあたりなつかしくなって再読したくなり購入しました。 映画は既に上映中の所もあります。今冬のお楽しみ。