本下巻は、上巻の神話や中巻の神意による初代天皇の誕生、支配権の拡張展開とは異なり、きわめて人の世の色彩が濃い。天皇の妻問いや皇位継承をめぐる反乱、皇子たちの殺害、有力氏族の抵抗・滅亡という波乱万丈の朝廷内部の様相や支配者としての天皇像が鮮明に描かれている。天皇の恋愛、皇后の嫉妬、争闘、謀略の物語はいずれも透明で明るく、素朴な古代人の美しい人間性が生き生きと溢れている。
1 仁徳天皇
1.后妃と御子
2.聖帝(ひじりのみかど)の世(みよ)
3.皇后の嫉妬と黒日売
4.皇后の嫉妬と八田若郎女(やたのわきいらつめ)
5.奴理能美(ぬりのみ)と八田若郎女
6.速総別王(はやぶさわけのみこ)と女鳥王
7.雁の卵の瑞祥
8.枯野といふ船
2 履中天皇
1.后妃と御子
2.墨江中王の反逆
3.水歯別命(みづはわけのみこと)と曽婆訶理(そばかり)
3 反正(はんぜい)天皇
4 允恭(いんぎょう)天皇
1.后妃と御子
2.即位と政治
3.軽太子と軽大郎女(かるのおほいらつめ)
5 安康天皇
1.大日下王と根臣(ねのおみ)
2.目弱王(まよわのみこ)
3.市辺之忍歯王(いちのべのおしはのみこ)
6 雄略天皇
1.后妃と御子
2.若日下部王
3.赤猪子
4.吉野の童女(をとめ)
5.葛城の一言主大神
6.天語歌
7 清寧天皇
1.二皇子発見
2.袁祁命(をけのみこと)と志毘臣(しのびのおみ)
8 顕宗(けんぞう)天皇
1.置目(おみな)の老媼
2.御陵(みはか)の土
9 仁賢天皇
10 武烈天皇
11 継体天皇
12 安閑天皇
13 宣化天皇
14 欽明天皇
15 敏達天皇
16 用明天皇
17 崇峻天皇
18 推古天皇
レビュー(8件)
趣味の本
上中下巻の全3巻です。古事記は日本人として一度は読んでおきたいと思います。たくさん出版されていますが、原文、現代語訳、解説があり、原本の内容に忠実であるということでお薦めだと思います。