薬師寺の僧侶・景戒によって九世紀初頭に編まれた、日本で最初の仏教説話集『日本霊異記』。仏教の教えを説こうとしながらも規範的な思想にはとどまらない、古代人の生き方が投影されている。一寸法師の源流、奪われた衣を取り返す力持ちの女ーー。上代文学研究の泰斗が、『古事記』『日本書紀』などの神話からの影響や、霊異記以後の伝承とのつながりを読み解く。国の創成期、エネルギーに満ちた人々の姿が鮮やかに蘇る。
第一講 小さ子とトリックスター
第二講 一寸法師の源流
第三講 力持ちの女
第四講 神婚神話のゆくえ
第五講 恩返しの発生
第六講 盗みという罪悪
第七講 悩ましき邪淫
第八講 行基の奇行
第九講 語られる女たち
第十講 あの世からもどった人、地獄を語る人びと
補講1 霊異記説話の〈夢〉
補講2 文学史のなかの『日本霊異記』
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