【POD】移民の社会的保護ーー南アフリカ・モザンビーク・マラウイの制度と実態ーー
本書では,モザンビークとマラウイから南アフリカへと国境を越えて移動し,移民労働者として就労する/した人びとの社会的保護をめぐる問題が考察されている。具体的には,(1)国際移民の社会的保護に関する研究のレビュー,(2)南部アフリカにおける国境を越えた移民労働の歴史,(3)民主化後の南アフリカの移民政策と社会的保護政策,(4)モザンビーク人移民鉱山労働者の職業性疾患をめぐる問題と給付金制度へのアクセス,(5)マラウイ北部農村出身移民にとっての「社会的保護としての移民労働」戦略が論じられる。グローバルサウスのなかでは例外的に公的な社会的保護の制度が整っている南アフリカでは,移民であっても鉱山労働者は拠出制年金/退職金への加入権を持ち,永住者や難民など一部の移民には社会手当の受給権が存在する。だが,移民労働者が出身国に帰国した後には,たとえその権利があっても,鉱山での健康被害に対する給付金を申請するのは極めて難しく,送り出し国政府や地域機構を含め,南部アフリカ地域全体で域内の移民労働者の社会的保護の実現に取り組む必要性があることが示される。
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