特に2000年以降に成人を含めた脊柱変形は自然経過,病態,診断,治療の各分野で発展してきた.扱うレベルは胸腰椎から頚椎や骨盤まで広がり,手術自体も内視鏡や腰椎椎体間固定術(LIF)などの小さな侵襲から前後合併のオープン手術まで,手技も多様になった.本号では、最新の診断・治療をはじめ、長期経過やアライメントの評価、首下がり症候群などについて幅広く論文を多く取り上げた.
【序】
本号特集「脊柱変形up-to-date」に多くの貴重な研究成果を投稿いただきました.ありがとうございました.Early onset scoliosisでは,one-way self-expanding rodを用いた低侵襲双極固定の報告をいただきました.学童期の特発性側弯症については非手術例の長期報告や側弯外来の試み,さらに3D情報を用いたChêneau装具の使用経験が示されました.手術関連ではdual-rod, アウトリガー,coplanar手技などとともに,脊柱変形ではますます重要となる脊髄モニタリングの報告がありました.また,以前は比較的マイナーな存在であった脳性麻痺をはじめとする神経筋原性側弯症への寄稿をいただきました.特に周術期合併症には特発性以上の注視が必要であり,さまざまな取り組みの報告がありました.
成人脊柱変形では,矢状面の評価や股関節をはじめとする隣接関節への考慮が欠かせません.その関係性の解析や,歩行解析を示していただきました.手術関連でもtemporary distraction,経椎間孔開大型椎体間ケージ導入,ロッド分割,dual sacral alar iliac, four delta-rodsなどの報告があり,さらに椎体骨折でのbody stentingなどの寄稿がありました.特に成人では必須の合併症対策として,患者の栄養状態の把握や隣接部障害など機械的合併症の予防の解析がなされています.
一方,頚椎では首下がり症候群の病態の解析ともに,保存療法,そして手術支援ロボットを用いた椎弓根スクリュー設置などの報告がありました.すべての寄稿を紹介することは叶わなかったことをお詫びいたします.
脊柱変形診療は乳幼児から超高齢者まで幅広い年代にわたり,脊椎レベルのみでなく隣接する運動器への視点が必要になりました.自然経過,病態,診断そして治療の各分野で知見がすすんでいます.本号が今後の日常診療,さらに研究や教育に役立つことを願っております.
2025年4月
自治医科大学教授 竹下克志
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