王の二つの身体(上)
: エルンスト・ハルトヴィヒ・カントロヴィチ/小林公
ユダヤ系でありながら熱烈な愛国者にしてゲオルゲ派。迫害と亡命。二十世紀の矛盾そのものを生きたかのような著者の法外な学殖と情熱は、王権表象の冷徹な解剖に向けられた。王は死んでも王位や王冠、王朝は存続する。その自然的身体とは独立して存在するように見える王の政治的身体は、いかにして産出されたのか。王権の政治神学的・象徴的基盤は西欧の歴史の中で、どのように編制されたのか。本書には、問題提起とシェイクスピア『リチャード二世』論に始まり、キリスト論との類比、法学的思考の浸透とその影響、王を神秘体の頭と捉える政体有機体説に説き及ぶ、第五章までを収録する。全二巻。
レビュー(2件)
上巻に続き、難解な論理が続く。アダムを引き合いに、ダンテが展開された。<人間>とは明らかに、神と宇宙、法や社会や都市、自然や知や信仰との関係をすべて含む<人間>であるーこの表象を確立したのが詩人ダンテであった。エピローグに、王に向けられた戒律は、「汝は人間である」、「汝は神そして神の代理者である」を忘れるな。ということ。