●カウンセリングの実習や実践を始めて間もない人から臨床経験10年くらいまでの人を対象に,カウンセリングの心得や勘どころ,そして実践上の工夫などを論じる。
学生相談という臨床フィールド,またフォーカシングという視点に特徴づけられつつも,著者は可能な限りそうした立ち位置に留まらず,カウンセリングを学び始めた人たちに共通して身につけてもらいたいこと,念頭に置いてもらいたいことを論じる。カウンセリングを実践する専門職者になっていくための「土台」に相当する部分を丁寧に,かつしっかりと固めることが,後になってぶれない,臨床家としての基盤になると考えるからである。
●目次
まえがき
第1部 実践の前に考えておくべきこと
第1章 カウンセラーとしての基本姿勢ーー心理臨床を学ぶ人へ
1.でこぼこの地面の上に家を建てる 2.自分の個人的課題とのつきあい方 3.援助・被援助の相互性の原理 4.責任を負うことの捉え方 5.訓練によって守秘を身につけることの意味 6.からだの正面で受けとめる 7.理論や技法とのつきあい方 8.実践にもとづいた学びの道筋
第2部 カウンセリングヘの導入
第2章 カウンセリングの始め方
1.主訴を丁寧に聞く 2.主訴を聞くことで原苦慮やそれに対する態度を感じ取る 3.主訴に近い背景を聞く 4.主訴からやや遠い背景を聞く 5.主訴の背景にある問題を見立てる 6.専門職としての判断を伝え進め方を提案する
第3章 カウンセリングを始める時期の留意点
1.聞かれている理由がクライエントにわかるようにする 2.聞くことは関係づくりである 3.仮説を立てて検証するように聞く 4.時間の制限のなかで重要なことから進めていく 5.「聞く」と「聴く」のバランスをとる 6.複数の人が相談に訪れた場合の対応
第3部 カウンセリングの継続と展開
第4章 傾聴を基盤にした関係づくり
1.同じ方向を向いて協働する関係づくりとそのモニタリング 2.聴くこと(傾聴)の意義 3.体験的応答の原則 4.傾聴について注意が必要な様相 5.二者関係の話題の取り扱い
第5章 体験内容への働きかけと支え
1.体験内容への働きかけ 2.「聴く」と「訊く」 3.問題の焦点の明確化と意味の提示 4.注意の仕方の2種とその間の往復 5.体験的軌道に沿った働きかけ 6.支えの機能
第6章 言葉による表現とノンバーバルな表出
1.ノンバーバルな表出の重要性 2.言葉と表出の関係 3.ノンバーバルな表出の相反する2つの特徴ーー言葉との対比 4.クライエントからの表出と言葉を重ねて読む 5.カウンセラーの表出と言葉での表現 6.カウンセラーの表出がクライエントに変化をもたらす側面
第7章 内面への向き合い方の諸相と体験様式への働きかけ
1.体験および体験様式ーー内面への向き合い方 2.体験様式の諸相(1)--内面への接近困難の様相 3.体験様式の諸相(2)--内面の情動に圧倒される様相 4.体験的距離の観点ーーフォーカシングからの示唆 5.体験的距離が遠すぎる場合の働きかけ 6.体験的距離が近すぎる場合の働きかけ 7.傾聴と体験的距離 8.カウンセラーによる働きかけの2つの相ーー体験内容と体験様式
第8章 カウンセリングの目標と進行過程
1.主体感覚 2.「感じ」を味わうフェルトセンス 3.クライエントのなかに傾聴の機能を育てる 4.カウンセリングの目指す目標 5.カウンセリングの進行過程と体験の変化
第9章 体験的距離の調整学生相談のーー事例からの示唆
1.本事例を理解する視点ーー解離性障害について 2.カウンセリング面接の経過 3.カウンセリングの進行過程 4.体験の距離感に関するカウンセラーの工夫
第4部 カウンセラー自身の内面へのまなざし
第10章 カウンセラー自身の「感じ」の整理と活用
1.カウンセラー自身の「感じ」に目を向ける 2.追体験によって生じる「感じ」 3.追体験のしにくさから生じる「感じ」 4.カウンセラーに「情動」が生じる場合 5.内側からの声を聴くことの大切さ 6.セラピスト・フォーカシングの方法 7.セラピスト・フォーカシングの意義
第11章 導き手としての暗在的「感じ」--ある物語の考察
1.ラフカディオ・ハーンによる物語 『常識』 の紹介 2. 僧の欲望について 3.僧の内面の暗在的「感じ」 4.暗在的な「感じ」が明示的になるプロセス 5.カウンセラー自身の「感じ」の意義 6.「感じ」をフェルトセンスとして捉えること 7.素人であることの大切さ
ほか
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