終戦の直前に北陸の小さな農家に末娘として生まれた、ごく平凡なある女性の一生の物語。小さな頃から心を病んだ母親に育てられ、見合い結婚と同時に日本各地を夫の転勤に伴ってあちこちと移り住み、行く先々で数々の悲劇に見舞われ、昭和、平成、令和にわたって、時代に翻弄されながら、懸命に生きてきた、なんの取り柄もない気弱で泣き虫な3人の子供の母親、恵美子。高度経済成長を支えた父たちの陰で、表舞台に出ることなく、ひっそりと寄り添って彼らを支え、黙々と家を守ってきたどこにでもいる平凡な母親の平凡でない一つの人生の物語。時代を築き上げた、日本を豊かに成長させた原動力であった父達と反対に決して脚光の浴びることのなかった、誰にも語られず、賞賛されることのない、寡黙で力強い昭和の母達に贈る讃歌です。
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