頭の切れる東大生が利殖詐欺にひっかかり、その後は自ら怪しい金融会社を立ち上げて搾取する側に立つが、結局は破綻するというストーリー。折角の優秀な頭脳をそんなふうに使ってしまったことには(本人の幼少期の家庭の問題もさることながら)太平洋戦争中に徴兵された経験が大きく影響しているのではないでしょうか。戦争中は鬼畜米英だったのが、終戦後は金さえあればアメリカ由来の豊かな食や文化芸能、便利な生活を享受できる・・・という状況では「頼れるものはカネだけ」となってしまうのも無理からぬことです。そういう意味では、戦争を記録した小説であるとも言えるでしょう。,「1950(昭和25)年に本が登場」というような、昭和の初めや、昭和20年代前半というような様子が出て来る小説に触れると、如何しても「傲岸な未来人の目線」が紛れ込んでしまうのだが、一部の「そういう時代の風俗や価値観らしき何か」という要素を無視すると「本当に70年も前に上梓された小説か??」という驚きさえ沸き起こる。 本作には「千葉県のK市」という場所が登場する。これは、モデルにした人物の出身地であるという木更津のことに他ならないようだ。ここで育つ少年の様が描かれる前半が在る。この部分は、「本当に70年も前に上梓された小説か??」と強く思った。然程大きいのでもない地方の都市で、街では或る程度“名士”ということになる父親の下に生まれた兄弟の末っ子で大変な秀才という主人公の「川崎誠」という人物が描き込まれる。この描写?本作では、大正時代の終わり頃となる大正12年に誠という人物が生まれて、昭和の初め頃に少年期を過ごしているという様子が描かれているのだが、背景になる「あの時代の雰囲気が伝わるような描写」を少し改めれば、これが「平成時代の後半に生まれた主人公…平成の末から令和の初めに少年期を過ごし…」であっても、少しも違和感が無いような気がした… この昭和の初め頃に少年期を過ごしているという、然程大きいのでもない地方の都市で、街では或る程度“名士”ということになる父親の下に生まれた兄弟の末っ子で大変な秀才という主人公の「少し風変わりかもしれない?」という少年期が、一気に“青年期”へ進む。“一高”、“東大”という“コース”に乗って行くのだが、他方で学徒動員で軍務も経験して復学するという数年が経ち、物語の後半に突入する。 東大に復学した誠であったが「投資詐欺」の被害に遭ってしまう。その被害を挽回するというような契機が在ったような印象も受けるが、友人と共に“事業”を立ち上げる。それが、出資を募り、高利貸しをして、出資者に配当金を出すという、作中の時代には見受けられたようなモノであるらしい。こういう活動を続けて、そして“生い立ち”が精緻に描き込まれる前半に対し、後半は何かイメージが随分と変わるような気がする作品だとは思った。しかし、「目的か何かが在るのでも…」と偶々始めた活動にのめり込んで行く主人公の様や、周辺の人達との関係等は一寸面白い。,昭和24年に実際にあった事件を背景に書かれた小説で、「ライブドア事件」をほうふつさせる話でした。文中の所々に出てくる観念論は私には少々難解でしたが、優秀な青年が転落していく過程は、幼少期の家庭環境が一個の人間の人格形成に多大な影響を及ぼす恐ろしさを痛感する物語でした。,光クラブを題材にしたものです。 三島由紀夫の作品ぽくないので、純粋に三島由紀夫を世界に浸りたい人にはお勧めできませんが、さらりと読みやすい本だとは思います。,まだ読んでいないのでなんともいえません。 嫁は面白いといっていますが・・・
レビュー(85件)
頭の切れる東大生が利殖詐欺にひっかかり、その後は自ら怪しい金融会社を立ち上げて搾取する側に立つが、結局は破綻するというストーリー。折角の優秀な頭脳をそんなふうに使ってしまったことには(本人の幼少期の家庭の問題もさることながら)太平洋戦争中に徴兵された経験が大きく影響しているのではないでしょうか。戦争中は鬼畜米英だったのが、終戦後は金さえあればアメリカ由来の豊かな食や文化芸能、便利な生活を享受できる・・・という状況では「頼れるものはカネだけ」となってしまうのも無理からぬことです。そういう意味では、戦争を記録した小説であるとも言えるでしょう。
「1950(昭和25)年に本が登場」というような、昭和の初めや、昭和20年代前半というような様子が出て来る小説に触れると、如何しても「傲岸な未来人の目線」が紛れ込んでしまうのだが、一部の「そういう時代の風俗や価値観らしき何か」という要素を無視すると「本当に70年も前に上梓された小説か??」という驚きさえ沸き起こる。 本作には「千葉県のK市」という場所が登場する。これは、モデルにした人物の出身地であるという木更津のことに他ならないようだ。ここで育つ少年の様が描かれる前半が在る。この部分は、「本当に70年も前に上梓された小説か??」と強く思った。然程大きいのでもない地方の都市で、街では或る程度“名士”ということになる父親の下に生まれた兄弟の末っ子で大変な秀才という主人公の「川崎誠」という人物が描き込まれる。この描写?本作では、大正時代の終わり頃となる大正12年に誠という人物が生まれて、昭和の初め頃に少年期を過ごしているという様子が描かれているのだが、背景になる「あの時代の雰囲気が伝わるような描写」を少し改めれば、これが「平成時代の後半に生まれた主人公…平成の末から令和の初めに少年期を過ごし…」であっても、少しも違和感が無いような気がした… この昭和の初め頃に少年期を過ごしているという、然程大きいのでもない地方の都市で、街では或る程度“名士”ということになる父親の下に生まれた兄弟の末っ子で大変な秀才という主人公の「少し風変わりかもしれない?」という少年期が、一気に“青年期”へ進む。“一高”、“東大”という“コース”に乗って行くのだが、他方で学徒動員で軍務も経験して復学するという数年が経ち、物語の後半に突入する。 東大に復学した誠であったが「投資詐欺」の被害に遭ってしまう。その被害を挽回するというような契機が在ったような印象も受けるが、友人と共に“事業”を立ち上げる。それが、出資を募り、高利貸しをして、出資者に配当金を出すという、作中の時代には見受けられたようなモノであるらしい。こういう活動を続けて、そして“生い立ち”が精緻に描き込まれる前半に対し、後半は何かイメージが随分と変わるような気がする作品だとは思った。しかし、「目的か何かが在るのでも…」と偶々始めた活動にのめり込んで行く主人公の様や、周辺の人達との関係等は一寸面白い。
昭和24年に実際にあった事件を背景に書かれた小説で、「ライブドア事件」をほうふつさせる話でした。文中の所々に出てくる観念論は私には少々難解でしたが、優秀な青年が転落していく過程は、幼少期の家庭環境が一個の人間の人格形成に多大な影響を及ぼす恐ろしさを痛感する物語でした。
光クラブを題材にしたものです。 三島由紀夫の作品ぽくないので、純粋に三島由紀夫を世界に浸りたい人にはお勧めできませんが、さらりと読みやすい本だとは思います。
まだ読んでいないのでなんともいえません。 嫁は面白いといっていますが・・・