太宰文学を読み解くーキリスト教を視座としてー
第一創作集である『晩年』について「私の遺著として名付けた」と太宰は語ったが、それはつねに〈死〉を見つめた〈生〉という視点で創作した彼の心象である。
本書では、その死生観の背景に〈キリスト教〉の影響を見る。
多くの作品に鏤められた〈聖書〉の言葉を分析し、必死に生きようと苦闘した太宰治とその文学を考察する。
序 太宰治の〈生〉
1 出発に潜む〈生〉
作家太宰治の出発──『魚服記』
瓦解する関係性に見据える光──『彼は昔の彼ならず』
不可解さが生み出す現実──『陰火』
2 キリストの中の〈生〉
山岸外史『人間キリスト記』の影響──『葉桜と魔笛』
山岸外史『人間キリスト記』の受容──『駈込み訴へ』
3 聖句が支える〈生〉
ハムレット系譜の中の異彩──『新ハムレツト』
聖句が繫ぐ二つの時間──『正義と微笑』
祈りへの昇華──『花火』
4 〈生〉の終焉
女性性で描く復活と限界──『斜陽』
イエス物語の結実──『人間失格』
結 読みつがれる太宰治の〈生〉
あとがき
初出一覧
索引
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