近年、モバイルネットワークが目覚ましく発展し続けている。一般ユーザはもちろん、ビジネスでも、或いは技術の面からも、常に注目され、絶えず関連する新しい話題が注目されている。モバイルネットワークは1980年代の自動車電話で始まるが、1990年代に入って、その利便性から携帯端末が多く開発され、爆発的に普及した。さらに、1999年のiモードサービスの登場とともに、2000年代では、写真、財布、放送受信などの電話通信以外の機能が次から次へと追加され、当初の持ち運びできる携帯端末から、個人の生活に不可欠なパーソナルデバイスに進化して来ているといえる。このために、今や一般のユーザにとっては、携帯端末よりも「ケータイ」の方が実感に合った言い方として定着したと思われる。モバイルネットワークは、決して今の状態で完成し、成熟したものではない。今も、絶え間なく引き続き進化し続けている。高速システムLSI技術、ディジタル信号処理技術、高速プロセッサ技術、高周波帯用電子部品技術などの基本的なシステムの実現技術が進展している。さらに、スペクトラム拡散、OFDMAなどの高度な無線変復調技術、高速信号処理プロセッサ、高精度ディジタル信号処理ソフトウエア、アンテナ・高周波フィルタなどの高精度無線部品などの技術も実現されてきている。その結果、数個のLSIでシステムができるSoC(System on Chip)化、ソフトウエア制御の適用する範囲の拡大、アーキテクチャの高度化、システムの低価格化、ならびに小型化が著しく進展し、モバイルネットワークは、次の段階の飛躍、即ち第5世代を迎えていると言える。一方、モバイルネットワークに関する技術は多岐にわたっている。携帯端末を実現する技術から様々なネットワークサービスを実現している技術まで、様々な先端技術が関連しており、各所で日々研究、開発されている。 無線通信技術、ネットワーク技術、端末の実現技術、情報処理技術などのICT分野の多くの技術が有機的に組み合わさって、モバイルネットワークとそれが提供するサービスを実現している。本書は、大学の専門課程でモバイルネットワークに関する基本技術を学ぶ人たちにとっても、より深く理解する場合の教科書或いは参考書として役に立つような内容になっている。第1章では、モバイルネットワークの歴史とその発展要因について述べる。第2章では、モバイルネットワークの基本技術として、無線通信技術とネットワーク制御技術について述べる。第3章では、携帯端末の実現技術について述べるとともに、第4章では、モバイルネットワークの標準化と第5世代に向けた開発動向について述べる。最後の付録では、VoLTEの基盤技術であるIMSについて述べている。
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