第一部 日下は進学校として少しは名の知られた男子私立高校の寮責任者および学校法人の財務担当理事として30年以上、粉骨砕身尽くしてきた。ところが定年退職を目前にして突然大罪人の汚名をきせられ諭旨免職、退職金半減という懲戒処分を受けることとなり石もて追われるごとく屈辱感に打ちのめされて学校を去らなければならなかった。その背景には、野心家教頭の暗躍があった。 理事会の処分決定からその執行までの手続きは真に、ずさんで、いい加減なものだったが一部、自分の非を認めていた日下は、疑義を感じながらもこれを甘受した。 これを契機に妻との不和は決定的なものになり、もはや修復不能な状態に陥った。 ひよんな事から懲戒処分の出鱈目ぶりが露見することになり、その是非をめぐって書面による応酬が始まった。 そんな矢先、飯豊山登山の野宿で遭遇した天使と名乗る青年の助力を得て懲戒処分をめぐる顛末が明らかにされていく。 第二部 日下は懲戒処分に関する真相を知ってからは片時も、そのことが頭から離れることがなく、黙過することは到底出来ないとの強い思いが日増しに募っていった。 そしていろいろな紆余曲折を経てついに訴訟に踏み切った。弁護士に依頼する経済的な余裕はないので自分ですべて対処する本人訴訟の道を選んだ。相手の学園は当然のことながら顧問弁護士を代理人にたてて臨んできた。難解な法律実務に苦闘しながらも裁判は着実に進行していった。 その最中、学園は某週刊誌により生徒の自殺事件をめぐり非難攻撃にさらされる。 自殺した生徒はかつて世話をした寮生であることが判明すると日下は事件の真相とその生徒の真情を知ることを切に願う。あの青年の手引きにより夢の中で、その生徒の霊と交わりを持つことができて願いはかなえられる。 この事件を契機に裁判に対しては意気消沈してしまうが口頭弁論を重ねるに従い相手の非が明らかにされていく。最終局面では判決ではなく和解勧告に応ずることになる。和解の内容は学園が和解金を支払うというもので実質勝訴に近いものとなった。 和解締結の日、思わぬ展開が待ち受けていた。それは校長による謝罪だった・・・・・。
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