女房文学は、平安時代の一時期に限定されるものではなく、古代から中世、近世、それ以降をも含めて、興隆と刷新を繰り返しながら、時代のなかで継続されてきた営みである。王権との密着、高貴性の反映、教育的機能など、その特質を多角的に論じながら、日本文学史のなかに、総体としての女房文学の系譜を位置づける。
凡 例
序 章 女房文学史論の射程
第一部 女房たちの領域と制約ーー制度のなかで
第一章 女房歌人の「家」意識ーー父・母・夫
第二章 歌合における女房ーー構造化のもたらす排除
第三章 女房ではない「女房」--高貴性と逸脱性
第四章 女性と撰集・歌論ーー「撰」「論」「判」をめぐって
第五章 女房の声ーー禁忌の意識
第六章 題詠の時代の「女歌」言説ーー女房と皇女
第二部 王朝女房たちの語りーー物語と日記の基底
第一章 『紫式部日記』の消息文ーー宮廷女房の意識
第二章 『源氏物語』の評論的語りーー教育的テクストとしての物語
第三章 劇場としての『源氏物語』和歌ーー俯瞰と語り
第三部 中世歌道家の女房たちーー歌壇と家と
第一章 俊成卿女ーー先端の歌人として
第二章 民部卿典侍因子ーー女房・典侍として
第四部 中世女房たちの仮名日記ーー書き残すことへの渇望
第一章 建礼門院右京大夫とその集ーー実人生と作品と
第二章 『うたたね』--虚構性と物語化
第三章 『とはずがたり』の『源氏物語』叙述ーー女主人公への転移と語り
第四章 『とはずがたり』と宮廷歌壇ーー内包された意識と表現
第五部 教え論ずる女房たちーー教育がひらく回路
第一章 『無名草子』の視座ーー物語と教育を繫ぐ
第二章 『無名草子』の作者ーー新たに浮かび上がる作者像
第三章 『無名草子』の『源氏物語』和歌批評ーー女房の視点
第四章 『阿仏の文』--娘への訓戒
第六部 女房たちと説話ーー女房メディアの生成と展開
第一章 『無名草子』の宮廷女性評論ーー説話集として
第二章 『古事談』と女房ーー女房メディアを透かし見る
第三章 『阿仏東下り』--語り変えられる『十六夜日記』と阿仏尼像
第四章 隠遁した女房たちーー老いたのちに
系 図
初出一覧
あとがき
索 引
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