神出鬼没、変幻自在なトリックスターは、現代の心理臨床の場にどのように現れ、どのように機能するのか。特に、「主体のなさ」を中核的な課題とする現代のクライエントにおいて、どのように働くのか。多様なトリックスター像を独自に整理し、自験例の詳細な検討を通じて、心理臨床におけるトリックスターの再考/再興を試みる。日本のユング派分析家の資格取得論文の中から優れた論考を公刊していくシリーズの第1巻。
目次
シリーズ刊行に寄せて
はじめにーートリックスターは消滅したのか?
第1章 トリックスター像とその特徴
第1節 あるトリックスター神話の概要ーーウィネバゴ・インディアンのトリックスター神話
第2節 文化人類学で論じられてきたトリックスター像
第3節 トリックスターとしての〈異人〉
第4節 王権とトリックスター
第5節 トリックスターの構造と動き
第6節 トリックスターが語り継がれる意味とその必要性
第2章 ユング心理学におけるトリックスター元型
第1節 ユングのとらえたトリックスター
第2節 ユング以降のユング心理学におけるトリックスター元型
第3章 河合隼雄によるトリックスター論
第1節 河合隼雄のトリックスター
第2節 スサノヲのトリックスター性
第3節 昔話、児童文学で活躍するトリックスター像
第4節 河合隼雄とトリックスター
第4章 日本の心理臨床におけるトリックスター
第1節 日本の心理臨床で言及されてきたトリックスター
第2節 21世紀に消えたトリックスター
第5章 現代の心理療法にみられるトリックスター
第1節 事例A:注意欠如多動症男子の箱庭
第2節 事例B:“生まれてしまった”と訴える40歳代女性のスクイグル
第3節 事例C:アスペルガー障害の20歳代男性の夢と箱庭
第4節 事例D:“一度は行かないと終わらない”と来談した20歳代男性の夢とスクイグル
第6章 総合考察ーー現代の心理療法と新しいトリックスターの現れ
第1節 主体なき始まりーー機能不全のトリックスター
第2節 起承転結の「起」に関わるトリックスター
第3節 自然(じねん)的トリックスターーー分離に関わるトリックスター
第4節 心理療法の設えそれ自体が持つトリックスター性
おわりにーーsyzygyとしての“わたし”と“トリックスター”の戯れ
引用文献
索引
あとがき
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