フランスは、欧州通貨統合に当初より積極的に関わった。その結果、かれらはEUから財政緊縮を強く求められ、それによって、失業を中心とする社会問題の出現を余儀なくされた。本書は、フランスが通貨統合の進展に合わせて経済政策を転換する羽目に陥り、それによって経済・金融構造を大きく変容させたプロセスを、当局の一次資料に基づきながら明らかにする一方、そうした変化が、現代EUの財政規律の下で生じる加盟国の社会危機の源流となったことを検証する。
序 章 フランス金融改革の背景
1 問題の所在と本書の目的
2 本書の構成
第1部 欧州通貨制度とフラン危機
第1章 欧州通貨制度成立後のフランスの国際収支構造
1 はじめに
2 貿易収支の構造
3 国際分業構造と対外競争力
4 経常収支の構造
5 長期資本収支と基礎収支の構造
6 短期資本収支と金融勘定
7 おわりに
第2章 1981年以降のフランの連続的切下げをめぐる諸問題
1 はじめに
2 社会党政権の成立とフランの切下げ:1981年
3 フランの再切下げと欧州通貨制度の再調整:1982年
4 フランの再々切下げと経済政策の転換:1983年
5 おわりに
第3章 フランスの金融システムと金融政策の変容
1 はじめに
2 欧州通貨制度参加直後の金融構造
3 金融システムの変容と社会党政権による金融政策
4 銀行の国有化を中心とする金融政策の展開
5 対外不均衡の是正と規制政策
6 おわりに
第2部 フランスの金融自由化と金融危機
第4章 フランスの金融自由化と金融システムの改変
1 はじめに
2 フランス企業をめぐる経営環境の変化
3 フランスの金融仲介システムの改変
4 フランスの短期資本市場の開放
5 フランスの金融・資本市場の統合
6 おわりに
第5章 フランスの金融自由化による金融政策の転換
1 はじめに
2 フランスの貸出し規制政策の撤廃
3 フランスの市場メカニズムに基づく通貨管理
4 フランスの外国為替政策の自由化
5 おわりに
第6章 フランスにおける市場金融の発展と金融危機
1 はじめに
2 金融・資本市場構造の変容
3 経済機関の市場金融の進展
4 市場金融の発展の諸結果
5 1987年の金融危機の展開
6 おわりに
終 章 フランス金融改革の帰結
1 欧州通貨統合とフランスの通貨・金融危機
2 欧州の経済・通貨同盟とフランスの対応
3 フランス金融構造変容の現代的インプリケーション
あとがき
索 引
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