相手の境遇や困難を思いやる細やかな文体に、仏教思想の根本を込めた日蓮の手紙。仏典や故事、説話を駆使したその遺文からは、平等と人間尊重を説く『法華経』や、国家の腐敗を糺し災害や疫病に立ち向かう『立正安国論』のエッセンスが立体的に立ち上がる。人生相談あり、生活指導あり、激励あり。息子ほどの歳の少年へ、夫をなくした女性へ、子に先立たれた母親へ。厳選された25通の原文・現代語訳・解説によって人間日蓮の実像に迫る。
はじめに
第一章 富木常忍夫妻への手紙
富木常忍夫妻について
問注得意抄 一二六九年五月九日
土木殿御返事 一二七一年九月十四日
佐渡御書(抄) 一二七二年三月二十日
富木尼御前御書 一二七六年三月二十七日
忘持経事 一二七六年三月
第二章 四条金吾への手紙
四条金吾について
四条金吾殿御返事 一二七六年六月二十七日
四条金吾殿御返事(抄) 一二七七年七月
崇峻天皇御書 一二七七年九月十一日
四条金吾殿御書(抄) 一二七八年一月二十五日
四条金吾殿御返事(抄) 一二七八年十月
第三章 池上兄弟への手紙
池上兄弟について
兄弟抄(抄) 一二七五年四月十六日
兵衛志殿御返事 一二七七年十一月二十日
兵衛志殿御書(抄) 一二七八年九月九日
兵衛志殿御返事 一二七八年十一月二十九日
兵衛志殿御返事 一二八一年六月十八日
第四章 南条家への手紙
南条家について
南条兵衛七郎殿御書 一二六四年十二月十三日
南条殿御返事 一二七六年閏三月二十四日
種種物御消息 一二七八年七月七日
上野殿後家尼御前御書 一二八〇年九月六日
上野殿母御前御返事 一二八一年十二月八日
法華証明抄 一二八二年二月二十八日
第五章 女性信徒への手紙
女性信徒について
月水御書(抄) 一二六四年四月十七日
日妙聖人御書(抄) 一二七二年五月二十五日
四条金吾殿女房御返事(抄) 一二七五年一月二十七日
千日尼御前御返事(抄) 一二七八年七月二十八日
あとがき
年譜
参考文献
レビュー(4件)
NHKで放送されていたので知りました。大変に良い内容で編集されているので、読みやすかったです。
時宜を得た出版ですね。感心したり笑ったりしながら楽しんでいます。NHKeテレの「100分de名著」も始まりワクワクしています。
今年読んだ本の中で一番面白かった
拝啓 とても興味深く楽しみながら読ませていただけました。 このような「日蓮」書籍がないものかと、長年思っていました。あるようでなかった本です。 手紙というと、現代ではネットで短文メッセージのやり取りが簡単にできますが、ほんの20年ほど前まで、自分も紙に文字を手書きしてドキドキしながらポストに入れていたものです。 書くときはひとり机に向かい、手紙を手に取ってくれている相手の状況や姿を想いながら語りかけつつ伺いつつ。 そういう個人間の「手紙」というものは、少々独特の文章になりがちです。 相手との共通認識があることは簡単に書いたり、ひとりでに感情的になったり、少し空想めいたり。 そのような表現が、かの有名な歴史的僧侶が書いたのだからと、宗教的に曲解されてきたところがあったのではないかと、うっすら思っていました。 本当は何が書いてあるのか、特定の思想傾向を持つ宗教団体や中途半端な研究の解釈を挟まずに、人間が人間に書いた「手紙」として読んでみたいものだと、そのような書籍がないものかと探していました。 今年、現代日本の天才仏教学者によって、私のように歴史や古典など詳しく知らない者にも読みやすく現代語訳化され出版されるとは、このタイミングまで生きていて良かったです(笑) 続編が出ることを楽しみにしております。 敬具