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20代半ばにしてデビューをした作家・矢崎健介、70歳になった。 「世界一もてない男」を自称するユーチューバーが、矢崎をユーチューブに誘う。 承諾した矢崎が語り出したのは、自由である人間について。自由な人間は滅多にいないのだと言った。 自由であるということは、唯一の希望を生む。 矢崎は、これまで付き合った女性について話したいと言う。約半世紀の間に、登場しては、消えていった女性たち。思い出して、涙を見せながら、語られる女性たちとの思い出。 それは、今考えると、生命の源泉だった。 亡くなった女性も、行方不明の女性もいた。彼女たちとの付き合いが、作品を生みだし、矢崎健介という男を作っていたのだ。 待望の傑作連作小説
レビュー(61件)
長年のファンとしては、妄想が膨らんだり、懐かしさが押し寄せたりと、なんとも味わい深い作品でした
家族に頼まれて注文しました! 表紙を見て少しギョッとしましたが(笑)、喜んで読んでおります。 ありがとうございました!
ムラカミ文学
ホテルのVIPルーム。世界一もてない男の求めに応じ、70歳の大作家がユーチューブに出演する。若くして大きな賞を獲った、この作家が女性遍歴について語るのだが、そこはユーチューブ、様々な規制を掻い潜っての対応になる。目新しいシチュエーションと言っていい。文学界では三村上という言葉があり、春樹、龍、政彦を指すが、春樹、龍両氏の文体、構成が、すこぶる似ていて興味深い。共にビリー・ホリデーなどに触れているのも親しみが沸く。