精神科医である著者が、吉本隆明が広汎に論じてきた評論から、〈こころ〉と〈倫理〉についての思想を解読し、この時代の狂気の諸相を抉り出す。
吉本隆明の生きた時代ーー1924(大正13)年〜2012(平成24)年ーーは、大戦期から復興・高度成長期、そしてバブル没落から失われた30年へと続く、現代日本の激動期そのものであった。日本人の気質と私たちが抱える〈こころ〉の問題も、時代の変化にともないその病状と流行はうつろってきた。
精神科医である著者が、吉本隆明が文芸や哲学、精神医療など広汎に論じてきた評論から、現代日本の〈こころ〉と〈倫理〉についての吉本の思想を解読し、今の時代への敷衍を試みる。
序章 〈資質〉を〈倫理〉に変えるときーー岸上大作・松本隆・つげ義春
第1部 〈こころ〉学入門
第1章 <資質>-妄想論ーー吉本隆明の漱石論
第2章 身体はなぜ抗うつ薬を食べ続けるのかーーフォイエルバッハと吉本隆明の身体論
第3章 行動の構造論ーー吉本隆明「メルロオ・ポンティの哲学について」「行動の内部構造」
第4章 自閉スペクトラム症論ーードナ・ウィリアムズと『心的現象論序説』
第2部 古典ー近代文芸における〈こころ〉学
第5章 吉本隆明の実朝論
第6章 吉本隆明の西行論
第7章 吉本隆明の芥川論
第8章 吉本隆明の太宰論
コラム 太宰治こと津島修治のカルテ
第3部 現代文芸における〈こころ〉学
第9章 『抹殺の〈思想〉』補遺ーー宮柊二『山西省』から木山捷平『苦いお茶』まで
第10章 三島由紀夫『美しい星』の核戦争論
第11章 小林美代子『髪の花』と精神医療の一九六八年
コラム レジリエンスーー『源氏物語論』
第12章 吉本隆明の境界性パーソナリティ障害論ーー『国境の南、太陽の西』と『おしまいの日』
終章 統合失調症ーー『転位のための十篇』
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