天に選ばれたのは、放浪の王。元王族の飛牙は、長く厳しい逃亡生活の末、仲間も理想も失い、詐欺すれすれの放浪者になっていた。ところが故国の政変に巻き込まれ……。疾風怒濤の中華ファンタジー開幕!
天下四国(てんげしこく)--この世は、峻厳たる山々に囲まれた四つの国に分かれている。南の王国「徐」の王太子・寿白は、革命の混乱のさなかに天令から王の証「王玉」を授かったが、徐国は倒れ、国名も「庚」と改められてしまう。
それから十年。かつて輝くほど聡明な少年王だった男は、飛牙と名乗るすれっからしに成り果てていた。天令の那兪は、飛牙の胸に眠る王玉を天へ返すよう迫るが、故国の荒廃に王の自覚を取り戻しつつある飛牙にいつしか寄り添っていく……。
レビュー(6件)
主人公が好きだな。
中華風の王朝ファンタジーだけど、さらっと読めた。このタイプの設定では珍しく、重苦しくない。主人公の飛牙が亡国の王(現実には詐欺師すれすれの風来坊)なので、堅苦しい宮廷や、ドロドロした後宮などの話とは無縁のせいかもしれない。 傾く国に生まれ、両親(国王と皇后)は反乱軍を前に死亡。幼くして譲位され、王の証を身に宿したまま逃げ惑う過去はかなり壮絶。だからこそ、「なんでチャラい大人に育っちゃったの?」と呆れるシーンと、「生真面目なままじゃ、辛すぎて生きられなかったよね」と共感するシーンが交互に現れる。心惹かれる主人公だ。 ラストの選択も飛牙らしい。『自分は運が悪い』と思っている飛牙だが、彼は行く先々で、人を幸せにしそうに思える。