〈加害/被害〉の二分法で捉えられない人びとの姿を「グレーゾーン(灰色の領域)」と呼んだアウシュヴィッツの生存者である作家プリーモ・レーヴィ。その思想に触発され、第二次大戦期の日独「帝国」下に現れた統治空間を新視角から注目し、「協力者」の実像解明に取り組む歴史学の新たな潮流。戦時社会を基底から問い直すことで、意図的な歴史の忘却と「修正」に対峙する、西洋史と東洋史の垣根を超えた共同研究の成果。
はじめに 編者一同
第一部 「グレーゾーン」のパラダイムー概念と方法
第一章 「グレーゾーン」概念の諸系譜 高綱博文
第二章 プリーモ・レーヴィの「グレーゾーン」についてー歴史研究における概念化に向けて 新谷崇
第三章 ナチ体制下でのユダヤ人協力者をめぐってープリーモ・レーヴィの「グレーゾーン」を中心に 猪狩弘美
第四章 日本占領下上海文化の「グレーゾーン」をどう考えるか 鈴木将久
第二部 大戦期欧州における対独協力とグレーゾーンの諸相ー国民国家の崩壊と新たな政治空間の出現
まえがき 門間卓也
第五章 ナチ占領下フランスのグレーゾーンームーニエとミッテラン 渡辺和行
コラム コラボラシオンの中のグレーゾーンー「反独コラボ」シャルル・モラス 南祐三
第六章 第二次世界大戦期におけるリトアニア人行動主義戦線(LAF)の対独協力 重松尚
第七章 「クロアチア独立国」に囚われたウスタシャの知識人たち 門間卓也
コラム 無ー関係の領域としてのグレーゾーンーワルシャワ・ゲットーを境界とする二つの世界 宮崎悠
第三部 帝国日本の占領と中国・東南アジアのグレーゾーンー既存秩序の動揺と変化
まえがき 関智英
第八章 日中友好の「グレーゾーン」-戦時下の内山完造 高綱博文
第九章 上海文壇から見る「グレーゾーン」-日本占領下における楊之華の文学活動 山口早苗
コラム 「和平建国」の夢のあとさきーグレーゾーンのなかの汪精衛政権 堀井弘一郎
第一〇章 中国青年党の対日協力ー日中戦争下のグレーゾーン 関智英
コラム バモオ小伝ー「独立」ビルマを担ったアディパティ(国家代表) 武島良成
コラム 日本占領下フィリピン社会の忘れられた「未完の革命」運動 荒哲
おわりに 門間卓也
年表
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