近年、教育史研究においても、従来の郷土史、地方史にかわって、地域社会の自立性を重んじ、独自の歴史を発掘し、叙述しようとする「地域史」への関心が高まりをみせている。本書は、そうした状況をふまえて、地域における多様な学びの諸相に目をむけ、それら相互の教育の歴史性や個性を明らかにしようとしたもので、地域的には、北は東北から南は沖縄の地を対象とし、また時代的には近世から現代までをテーマとして、丹念に跡づけた論考によって構成されている。「地域」という概念をあくまでも人びとが生活を営みつつ、かつ独自で個性的な文化を不断に創造する拠点としてとらえ、その教育・文化の歴史的解明をとおして、全体として「地域」を対象とした、新たな日本教育史研究の再構築が試みられている。
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